全国にラグビーブームを巻き起こした昨年のワールドカップ(W杯)日本大会。史上初のベスト8入りを果たした日本代表の中で、背番号12のCTB中村亮土(29)=サントリー=も強い輝きを放った一人だ。このたびオンラインでのインタビューに応じ、「目標は世界一の12番」と意欲を語った。(時事通信運動部 鈴木雄大)
プロ選手が多くを占める代表の中で、珍しい社員選手としても注目された。W杯後はオフィスに戻り、酒販店を回る営業職に従事。応援してくれる上司や同僚の存在が、ラグビーに打ち込む原動力にもなっていた。
しかし、6月からプロ契約を結んだという。「1月ごろに決意した。僕の経験、持っている考え方を次の世代に伝えたくなったから」。入社して丸6年。W杯で活躍できるまでに積み上げたラグビー選手としてのキャリアをさらに磨き、将来に指導者となるためにも、退路を断って競技に専念するべきだと感じた。「プロになったのは遅いかもしれないが、仕事をしていたからこそ、社会の厳しさやお金の流れも分かる。そこは僕の強みになると思う」
代表不動のCTB
W杯では不動のCTBとして日本を引っ張った。代名詞が猛タックル。体格の大きい強豪チームの選手にもひるまない気迫と、相手を倒し切る技術で日本の防御ラインを支えた。攻撃でも巧みなパスワークを披露。「ダブルフェラーリ」と呼ばれた松島幸太朗(クレルモン)と福岡堅樹(パナソニック)の両WTBを自在に走らせた。
2016年にジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが就任した直後は、レギュラーではなかった。コツコツと実績を積み上げ、18年から主力級に。W杯イヤーに入ってからふくらはぎや肩を痛めたそうだが、本番にピークをきっちり合わせた。「代表に残れるかどうかは気にせず、自分にフォーカスを当てて、その時にやれることを絶対にやった。それがよかったのかな」と振り返る。
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