会員限定記事会員限定記事

新型コロナで見直される「雑談効果」

賀茂美則(ルイジアナ州立大学社会学部長/米在住)

新型コロナのせいで「無駄話」が減っている?
 新型コロナウイルスは相変わらず世界中を席巻している。世界全体での感染者総数が1000万人を超えるのは時間の問題であり、新規感染者数は2020年6月19日の1日だけで18万人以上、これまでの記録、14万人をはるかに超えて史上最高である。

 それにもかかわらず、日本も米国も話題は「コロナ後」に移っている感がある。パンデミックが落ち着いてからの「ニューノーマル」はどうなるのか、「コロナ前」と「コロナ後」で生活パターンは変わるのか、などなど。やや時期尚早な気もするが、ここではこれまであまり語られることのなかった、新型コロナと「雑談」、またその「コロナ後」について書いてみる。

 新型コロナのせいで社会的な距離が徹底され、他人と「無駄話」ができなくなってしまって久しい。ただでさえ、話をする時につい出てしまう唾が主たる感染源だなどと言われて話がしにくいのに、マスクなどしているものだから、モゴモゴするばかりで何を言っているか分からないことも多々ある。

 散歩に出かけて知り合いに出会っても、2メートルも離れて「無駄話」をするのはちょっと疲れるし、滑稽でもある。もともと、雑談というのは「不要不急」のものなので、無理にしなくてもいいわけだ。いきおい、「どうでもいい話」つまり「雑談」をする「文化」が廃れてきている気もする。

 しかし、である。どうでもよかったはずの雑談に実は数多くの「効果」があったというのが本稿のポイントである。以下、順を追って述べてみよう。

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ