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バイエルン・ミュンヘン、ブンデスリーガ8連覇でも飽くなき野心 「3冠」のまず一つ目

ノイアー「大きな目標」

 サッカーのドイツ1部リーグ(ブンデスリーガ)は、バイエルン・ミュンヘンが制し、2012~13シーズンから続く連覇記録を8に伸ばした。前半戦の不調や新型コロナウイルス禍のリーグ戦中断などの困難を乗り越えた。6月16日のブレーメン戦で2試合を残して優勝を決め、安堵(あんど)の様子で無観客のスタンドへ向かい万歳三唱した選手たち。その最前列にはもちろん、主将GKノイアーがいた。

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 昨年10月、ノイアーが日本人記者団のインタビューに応じた。ホッフェンハイムを相手に今季初黒星を喫した試合の直後だったが、ピッチ上とは別人のような穏やかな雰囲気が印象深かった。

 せっかくの機会に、どうしても聞いてみたいことがあった。バイエルンは常に追われる立場。王座を守る難しさと、それにどう向き合っているかということだ。

 ノイアーは「サッカーというスポーツへの情熱の問題だと思います。プロ選手としての野心で、勝利への意欲が駆り立てられる。勝つためにすべてを尽くしているだけです」と話した。追われること、負けることへの恐れが付け入る隙はない。「負けも付き物。チームとしてそこから学び、優勝することが簡単なことではないと再認識します」

 連覇記録の更新にこだわるのにも理由があった。「僕自身、この記録が始まった瞬間から関わってきました。同じように最初から戦ってきた仲間、例えばミュラー、アラバ、(ジェローム)ボアテングらと一緒にこの記録を伸ばしていくことは大きな目標です」

ベテラン本領発揮

 優勝が決まった瞬間、「V8戦士」の4選手はそろってピッチに立っていた。エース、レバンドフスキの決勝点をアシストしたのはセンターバックのボアテング。斜めに走り込むストライカーにぴたりと合わせる、元ドイツ代表の31歳らしい絶妙のミドルパスだった。選手としてはここ数年、明らかに衰えが見えていた。しかし、チーム内でセンターバックのけがが相次いだこともあり、もう一度、その力が必要とされた。第10節まで15失点し、メンバーも定まらなかったDFラインを、左サイドバックからコンバートされたアラバと2人で統率し、守備に安定をもたらした。

 MFミュラーの復活も見事だった。コバチ前監督の下では「ジョーカー」として起用されることが多く、役割に徹して短い出場時間でもゴールをお膳立てしていたが、本人はその扱いに不満を募らせていた。複数のメディアで、冬季移籍の可能性も報じられていた。

 しかし、11月の監督交代後、ミュラーは攻撃の中心に返り咲く。その働きはチームの「潤滑油」そのものだった。意図的な動きだしで味方のためにスペースをつくり、するすると相手の嫌がるところへ入っていく。アシストでもゴールでも変わらない、ガニ股で右手のこぶしを掲げて喜ぶ姿をほぼ毎試合で見せた。バイエルンは30歳のミュラーと、契約を23年まで延長した。

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