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コロナ休校で心配募る子どもの生活の乱れ 家庭でのケアは?

睡眠サイクルを健全にする朝食

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、多くの学校が休校措置を取っているが、外出自粛や突然の休校という慣れない生活環境に、子どもを適応させるのは容易なことではない。昭和大学病院小児科の医師で、同大保健管理センター所長を務める田中大介同大教授に、子どもの健康管理のために家庭で配慮すべきポイントとその具体的な対処法について聞いた。

 現在、昭和大学保健管理センター所長として学生や職員のコロナウイルス対策を担当する田中教授。小児科医としては、日頃から起立性調節障害や肥満症の患者の診察に当たり、睡眠に関する相談を受けることもあるという。田中教授は、休校で在宅時間が長くなった子どもは、睡眠、食事、運動、心のケアが大切だと指摘する。

 「まず睡眠ですが、人の体内時計はもともと24時間よりも10~15分ほど長いため、通学、通勤といった朝起きなくてはならない理由(社会的事情)がなくなると、起床時間がずれて遅くなってしまうことがあります。一方、人には起床してから14~16時間で眠くなるサイクルがあり、起床時間が遅くなると必然的に就寝時間も遅くなります。これが悪化し、睡眠のサイクルが崩れ始めると、昼夜逆転の生活になることもあります」

 田中教授の外来でも昼夜逆転を起こし、睡眠薬を希望してくる患者がいるが、起床時間が遅いと薬を使用しても十分な効果は期待できないという。

 「自然な睡眠導入を目指す上でも、まずは朝起きることの大切さを知っておいてください。起床を促すキーワードは『朝日』『朝食』『社会的事情=起きるための理由』の3つです。朝日を浴びることで、夜間に分泌されていた睡眠を促す脳内物質、メラトニンの分泌が止まります。そして朝食を食べることで腸の活動が始まり、体温やエネルギー代謝が上がります。朝起きること、朝食を取ることの2つは良質な睡眠を得る上での大前提です」。

寝起きのルーティンで睡眠のリズムを作る
 しかし、休校期間中は3つ目のポイントである「社会的事情」が機能していない状態にある。

 田中教授は「普段は通学という社会的事情により、24時間+α(10~15分)の体内時計にリセットをかけ、眠い目をこすりながらも起きて出掛けることになります。休校期間中は、家庭内でこれを設定する必要があります」と指摘する。

 といっても、外出をさせるという意味ではなく、「私がよく提案するのは、起きたら花に水をあげるとか、単純にできる勉強として、漢字か英単語を1個覚える習慣(ルーティン)を作ることです。土日は休みとして、毎朝1個覚えると同時に、前日、前々日に覚えた単語(漢字)も思い出すようにと伝えます」といったように、寝起きの「ルーティン」を作ることだという。

 このとき、「花が咲くとうれしいと思うよ」「勉強の貯金ができるね」など、親が達成感やプラスのイメージをもたせる声掛けをすることも大切だ。

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