米国でのロックダウンとは
新型コロナウイルスが全世界で猛威を振るって久しい。ウイルスであるから直接的にはわれわれの健康を脅かすのだが、その他にも、ロックダウンなどによる経済的な損害、テレワークなどによる働き方の変化、人種や民族を含んだ格差社会の助長、教育機会の剥奪、ドメスティックバイオレンス(DV)や離婚など家庭に与える影響、各国の政治状況への影響、世界規模での覇権の移譲など、その波及効果は人類の全ての面に及ぶ。
そこで今回は、これまで注目されてこなかった新型コロナウイルスの影響の一つ、「IT格差の助長」について考えてみることにする。ほぼ全土がロックダウンされている欧米では、これまで以上にインターネットが重要になり、メール、SNS、ズーム(会議用アプリ)などの必要性が格段に上がった。こういった状況で、一昔前に話題になった「IT格差」がより鮮明になっている。
筆者が現在住んでいる米国ルイジアナ州は、人口当たりの新型コロナウイルスによる死亡率がニューヨーク州などに次いで全米第5位である。ルイジアナ州の総人口は465万人、日本の27分の1だが、1969人が死亡(5月3日現在)しており、日本の492人(同)と比べると死亡率は108倍である。
小中学校は3月16日から夏休みまで2カ月半の休校、3月23日からは「外出禁止令(通称ロックダウン)」が始まり、5月15日まで食料品や医薬品の買い物、医療機関での診療、散歩などの運動以外、外出はできない。仕事の方も「必要不可欠な職業」以外は自宅でのテレワークである。
筆者が勤める大学は3月16日から1週間休校となり、同月23日からの春休み後は、全てオンライン授業となった。大学構内は「非常時に許可を得て入校する以外」は基本的に立ち入り禁止。夏学期の全ての授業および秋学期も大きなクラスはオンラインとなることが決まっている。
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