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「アフターコロナ」へ耐える時 Bリーグ千葉の島田会長に聞く

想定外のケース

 新型コロナウイルスの感染拡大は、2016年秋のスタート以来右肩上がりで成長してきたバスケットボールの国内プロリーグ、Bリーグの運営にも影を落としている。リーグトップの売上高と観客動員力を誇るのが「千葉ジェッツふなばし」。島田慎二会長(49)は、コンサルティングをしていた同チームの経営に直接携わるようになった12年から業績を順調に伸ばした。新型コロナで取り巻く環境が厳しくなっている中、経営への影響や今後の展望、「ポスト・コロナ」での業界の変化などについて聞いた。(時事通信運動部 山下昭人)

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 2019~20年シーズンのB1は昨年10月に開幕。今年4月19日までレギュラーシーズンを行い、その後に年間王座を争うチャンピオンシップを開催予定だった。だが、新型コロナの影響で3月27日に残り全試合の中止が決定。年間優勝チームはなし、という事態に追い込まれた。経営面での打撃は甚大だ。

 「こういうケースは今まで想定があまりなかった。基本は入場者数を増やしたり、チケットをいかにして売ったりがスポーツビジネスの本流。そういうことで努力をしてきたと思う。試合の興行が行われないのは、今までのスタイルが全て否定されているようなもの」

 千葉はBリーグ3年目の18~19年シーズンの売上高が2期前の水準からほぼ倍増の17億6166万2666円。昨年は日本代表ポイントガードの富樫勇樹と1億円を超える年俸で契約し、話題にもなった。軌道に乗ってきたBリーグの中でも経営的に順調な球団と評価されてきたが、思わぬ逆風に見舞われた。

 「シーズンが佳境に入ってきたというのは順位の争いも含めて盛り上がるところで、ドル箱カードも控えています。一番稼ぎ時で、熱量をかけて応援するファンの方たちがチケットを買うだけでなく飲食やグッズを買うとか、ファンクラブの駆け込み需要とか、他の収入を得る機会を全て失ったので大きい。25%ぐらい売り上げが落ちているのではないか。昨年はうちが17億5000万円ぐらいの売り上げで一番だったが、14億ぐらいまで下がってくると思う」

 「Bリーグの一般的なクラブはチケット収入の比率が全売り上げの35%ぐらいだと思う。3分の1がなくなるのは相当なインパクト。それに紐付くグッズや飲食も減っていくし、あと大きいのはスクール。子供たちを集めて指導する安定した月謝収入も失っている。多くの講師を抱えているわけで、費用はかかるけど収入はなくなっていく。さらに、シーズン後半の冠スポンサーが付く試合がなくなる。うちだと1試合で数百万の売り上げになるので大きいですね。毎年それなりの成績を収めていたので、チャンピオンシップをホームで開催できた。ファイナルまでいくとホームで4試合やっているわけですから、(それだけで)1億円ぐらいになる」

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