会員限定記事会員限定記事

【地球コラム】コロナ死者ゼロの奇跡-「幸せの国」ブータン

経済より健康と結束

 ヒマラヤ山中に位置する人口約80万人の王国ブータンは、新型コロナウイルスによる死者を1人も出していない世界でも数少ない国の一つだ。ウイルスが最初にまん延した人口14億人の中国、感染者が急増している13億人のインドという二つの大国に四方を囲まれながら、奇跡的とも言える封じ込めに成功している。(時事通信社時事通信社解説委員 杉山文彦)

 その理由として、ブータン王立大学畜産学部のジグドレル・ドルジ講師(34)は筆者の書面インタビューに対し、政府中枢に現役外科医のロテ・ツェリン首相(51)ら医療のエキスパートがいることや、国を挙げての迅速かつ周到な予防対策を指摘した。

 ブータンといえば、国民総生産(GNP)ならぬ「国民総幸福量(GNH)」というユニークな国家指標を掲げ、経済よりも健康や環境、チベット仏教文化の伝統に配慮した「国民の幸せ」を追求して、小国ながら世界的に注目を集めてきた。「コロナ死者ゼロ」は、こうした健全な国家づくりのたまものとも言えそうだ。

地球コラム バックナンバー

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ