【インクルーシブ教育最前線】「グレー」、親の葛藤 ~支援級に就学~

英才教育

 「結局、頑張るのは子どもなんです。息子には頑張ってほしいけど、頑張るのに適した環境を選ばないと。不安が強かったので、大人数の一般級の中でもまれて、そこに居ることに耐えるだけなら、それは学習でも教育でもないですよね。彼の持っている可能性を最大限伸ばしてほしい、成長してほしいと思いました。彼に合った、不安がない支援級の方が勉強に集中できる。支援級に慣れて、自分の意志で頑張れるようになったら、一般級に転籍すればいいと思ったんです」

 家族からも、かたくなな反発はなかったという。拓己君の父親は専門家の話を聞いて納得した。発達障害という言葉が一般に浸透していなかった時代に子育てをした夫の両親、拓己君の祖父母とは同居しており、理彩さんの悩みを共有していた。

 「私は拓己に主体性のある人になってほしいんです。もともと、人とどう付き合ったらいいか分からない、人がどう反応するか分からないから恐いという子です。集団の中で、その場で皆と一緒にいることに集中したり、人の顔色をうかがうことに集中するんだったら、自分の興味のあることに積極的に関われる人間に育てた方がいいと思いました」

 理彩さんが、支援級を選んだ理由はもう一つある。

 「勉強だけでなく、差別、偏見のない柔軟な人間性を身に付けるのだったら、ある意味、支援級は英才教育ではないかと思いました。支援級にはいろんな子がいる。その子たちは、それぞれ良さがあって、できる範囲で一生懸命生きて学んでいる。それを小さい頃から目の当たりにしていたら、一般級よりも視野が広がる。拓己は、ただでさえ不安が強い。世の中に出たらいろんな人がいる。個性の強い子が集まった支援級の中にいて、自分をしっかり持って、他の子の姿も見て、相手を受け入れ、尊敬できるようになってほしい」

特集

コラム・連載

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ