【インクルーシブ教育最前線】「グレー」、親の葛藤 ~支援級に就学~

最大の選択

 拓己君は最も軽度の3級の手帳を取得した。自閉症など発達障害は先天的な脳の障害とされ、原因は明らかになっていない。治療法も今のところない。

 治らない障害だが、早期の療育や支援は重要だと考えられている。その子の得意、不得意を把握し、特性に合わせ将来を見据えて援助する。社会的スキルを教えることで、苦手を克服したり、目立たなくなるケースもある。社会的に成長することは可能だ。

 反対に、障害に適切に対応しなかった場合、2次障害を引き起こす恐れもある。ストレスが高まって、頭痛、腹痛などの身体症状が出たり、統合失調症、うつ病、強迫性障害などの精神障害を来したりする。不登校・引きこもり、家庭内暴力、自傷などの問題行動にもつながりかねない。

 拓己君の発達障害に気付き、受容した理彩さんだが「最も悩んだのは一般学級か、支援級かの選択でした」と言う。

 「精神手帳を持っているかどうかは、それほど大きな問題ではありません。療育に通うことも。他人に言わなければ分かりませんから」

 幼稚園にも保育園にも支援級はない。障害がある子も定型発達の子も共に過ごす。それが、小学校入学と同時に一般級と支援級に分かれ、障害のある子は一般級の子とは違う道をたどることになる。障害の有無は誰の目にも明らかになる。

 診断技術の進歩などにより、発達障害は増加している。発達障害に対する保護者の認知も高まっている。

 支援級の中でも自閉症・情緒障害級に在籍する小中学生は、2008年度の4万3702人から、18年度には全児童生徒数の約1.2%に当たる12万2846人と、10年間で約2.8倍に増えている(表)

 一般級の15人に1人は発達障害の傾向があるという指摘もある。とはいえ、わが子の障害を認めたくない、受容できない親は少なくない。そんな中で、理彩さんは最終的に支援級を選択した。

 就学先を相談するため、市教育委員会の特別支援教育総合センターに行った。拓己君にとっては初めての場所。不安がいっぱいだ。おどおどし、特性がさらけ出された。

 その場で支援級就学を勧められた。幼稚園の入園面接の時は「ドキドキしていた」という理彩さん。就学相談の際は「そう(支援級)ですよね」と淡々と受け止めた。

特集

コラム・連載

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ