会員限定記事会員限定記事

必勝テクニック伝えたい フジカキがバドミントン技術書

ダブルスは意思疎通の表現

 2012年ロンドン五輪のバドミントン女子ダブルスで銀メダルを獲得した藤井瑞希さん(31)と垣岩令佳さん(30)=ともに現役引退=が、初めての技術書となる「バドミントンダブルス必勝テクニック」(実業之日本社)を監修した。バドミントンの日本勢で史上初の五輪メダリストになった「フジカキ」。世界と戦う上で重視してきたポイントや、佳境を迎える東京五輪の女子ダブルス代表選考レースについて、藤井さんに聞いた。(時事通信運動部 山下昭人)

◇ ◇ ◇

 ダブルスは「温度を同じにしたり、目標に対するアプローチのスピードを合わせたりするところが難しい」と実感する藤井さんだけに、監修した「必勝テクニック」では技術や戦術以外にコミュニケーションの苦労や二人の葛藤にもページを割いている。熊本県出身の藤井さんと滋賀県出身の垣岩さんは、バドミントンの強豪として知られる青森山田高に進み、1学年差の先輩、後輩の関係に。藤井さんは二人が組んだダブルスで、コミュニケーションを大切にしてきた。「それがうまくいかなかったら成長できなかったかなと思います。個々のスキルはそんなに高くなくても、組んだ時に力が発揮できました」

3年かかって理想の関係

 ただ実際は、垣岩さんが年上の藤井さんに対して意見を言うことは少なく、もっぱら言われた通りにしていた。本格的なロンドン五輪代表争いが迫ったある日、意を決した藤井さんは宿舎で垣岩さんと膝を突き合わせる。「私の思いはこう。令佳はどう思う?」。答えを待つこと約3時間。垣岩さんがようやく思いを口にした。「もっとバックを狙っていきますね」「先輩、そこを張ってもらえますか」「このタイミングで出ますね」

 二人の距離が縮まった。何でも言い合える関係になると、意思疎通がプレーに表れ、成績が上昇していった。藤井さんは「3年ぐらいかかりました。私に乗っかってきてくれる感じのダブルスだったのが、二人でやっている感覚になってうれしかった。背負っているものがちょっと楽になった」と振り返る。

藤井さんがみる日本の3ペア

 バドミントンの東京五輪代表争いは、今年4月26日までの国際大会の成績によるポイントで決まる。ロンドン五輪で銀、16年リオデジャネイロ五輪では金メダルに輝き、今や「お家芸」とも言える女子ダブルスは、代表2枠をめぐって日本の3ペアが争う状況が続いている。

 五輪レースのワールドツアーで3勝を挙げている「フクヒロ」の福島由紀、広田彩花組(アメリカンベイプ岐阜)と、世界選手権を連覇した「ナガマツ」の永原和可那、松本麻佑組(北都銀行)が優位な立場をキープ。リオ五輪で日本バドミントン界初の金メダリストになった「タカマツ」の高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)が、残り大会での逆転を狙う展開だ。この3ペアの現況を、藤井さんに語ってもらった。

◆スポーツストーリーズ 記事一覧

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ