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東京は誰に何を託す 聖火最終点火者

金メダリストは8人

◇最多はヌルミの金9個

 五輪出場経験のあるオリンピアンは14人。うち8人が金メダリストで、フリーマン以外はいずれも過去の五輪で金メダリストになっており、いわば開催国の「レジェンド」だ。中でも最も多くの金を獲得したのは52年ヘルシンキ五輪で点火したパーヴォ・ヌルミで、20年代に陸上男子1万メートルなどで9個の金メダルを獲得している。

 金メダリストで聖火最終点火者は次の8人。カッコ内は金を獲得した五輪年と競技名。

 ▽52年ヘルシンキ五輪 パーヴォ・ヌルミ(20年ほか、陸上)、ハンネス・コーレマイネン(12年ほか、陸上)▽80年モスクワ五輪 セルゲイ・ベロフ(72年、バスケットボール)▽84年ロサンゼルス五輪 レイファー・ジョンソン(60年、陸上)▽96年アトランタ五輪 モハメド・アリ(60年、ボクシング)▽2000年シドニー五輪 キャシー・フリーマン(同年、陸上)▽04年アテネ五輪 ニコラオス・カクラマナキス(96年、セーリング)▽08年北京五輪 李寧(84年、体操)

 若い時に最終点火者を務め、その後の五輪に出てメダリストになった例では、56年メルボルン五輪のロン・クラークが、64年東京五輪の陸上男子1万メートルで銅メダルを獲得している。

 ◇92年はパラリンピアン

 唯一のパラリンピアンは、92年バルセロナ五輪のアントニオ・レボジョ。アーチェリーの選手で、車いすから聖火台へ火矢を放って点火する演出が世界中を驚かせた。選手としても84年大会の銀、88年大会の銅に続き、この大会でも銀メダルを獲得している。

 パラリンピックの第1回大会は64年の東京大会だったことから、今回はオリンピアンとパラリンピアンの共同作業による点火も考えられるかもしれない。

 ◇「象徴」としての英雄たち

 96年アトランタ五輪はモハメド・アリ。60年ローマ五輪ボクシングライトヘビー級の金メダリストで、プロボクサーとしての栄光は言うまでもないが、黒人差別と闘い続ける生き方が、人々に大きな影響をもたらしてきた。引退後はパーキンソン病との闘いでも知られ、震える手で点火する姿が世界中に放送された。

 フリーマンはオーストラリアの先住民アボリジニ。「白豪主義」と呼ばれる人種差別の残る国で闘い続けてきた人々の、象徴的存在だった。

 リオ五輪のバンデルレイ・デリマは04年アテネ五輪の男子マラソンで先頭を走りながら、コース乱入者に抱きつかれて妨害され、タイムをロスして抜かれながらも諦めずに銅メダルを獲得した。

 ソウル五輪では孫基禎が、スタジアムを走って最終点火者たちに渡した。孫は朝鮮半島が日本の統治下にあった時代の36年ベルリン五輪に、日の丸を付けて出場し男子マラソンで金メダルを獲得している。

 いずれも競技の実績だけでなく、英雄たちに「不屈」「反差別」「反戦」「フェアネス」などのメッセージを託した人選、演出だった。

 同じように東京五輪でも、男子フィギュアスケートで五輪連覇を果たし、東日本大震災の被災地・仙台市出身でもある羽生結弦の起用を期待する声がよく聞かれる。

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