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東京は誰に何を託す 聖火最終点火者

レジェンドかメッセージか

 半年後に迫った東京五輪。7月24日に国立競技場で行われる開会式のハイライトは、聖火台への点火シーンだ。ほとんどの場合、その瞬間まで明らかにされず、人々の大きな関心を集める聖火最終点火者。過去の夏季五輪を振り返ると、その国のスポーツ界の英雄か、未来を担う若者に大役を託し、世界へメッセージを発信する例が多い。

 ◇始まりはベルリン五輪

 聖火リレーの始まりは1936年ベルリン五輪だった。「初代聖火最終点火者」はフリッツ・シルゲンという陸上中長距離の選手で、当時29歳。その前も後も五輪出場経験はないが、最終点火者に選ばれたのは、走る姿が美しかったからだという。

 シルゲンは96年アトランタ五輪に際し、近代五輪100周年を記念して行われた聖火リレーで、ベルリン五輪のメインスタジアムで聖火台に再び火を灯す栄誉を担った。90歳だった。05年に94歳で死去している。

 ◇夏は過去30人、最多は陸上選手

 一般には聖火最終走者といわれるが、走らずに最後の点火だけを行う例も出てきたため、ここでは「最終点火者」として過去の人選を振り返る。その場合、ベルリンから前回2016年リオデジャネイロ五輪まで19回の夏季大会で、最終点火者を務めたのは30人。

 やはりスポーツ選手が27人で最も多く、競技別では陸上が18人と圧倒的に多い。最終走者として走って点火するので、ベルリン五輪のシルゲンのように走る姿が重視されるためか。練習やリハーサルもしやすい。

 他の競技は体操、セーリング各2、馬術、バスケットボール、アーチェリー、ボクシング、ボート各1人。どんな競技に人気があり尊敬を集めているかにも、お国柄が表れる。陸上と並ぶ夏季大会の花形である水泳や、五輪の伝統競技であるレスリングの選手がいないのを意外に感じる人も多いだろう。

 過去の夏季五輪で冬季競技の選手が点火した例はない。冬季五輪では92年アルベールビル五輪でミシェル・プラティニ(サッカー)、10年バンクーバー五輪でスティーブ・ナッシュ(バスケットボール)が務めた。ただ、ともに単独でない。

 ◇女性はフリーマンら7人

 スポーツ選手でない人も含め、女性は7人。最初は68年メキシコ五輪のエンリケッタ・バシリオだった。陸上の短距離、ハードルの選手で、同五輪にも出場している。19年10月に71歳で亡くなった。

 00年シドニー五輪のキャシー・フリーマンは同大会にも出場し、陸上の400メートルで優勝した。男女とも、現役選手としてその五輪に出場した例はバシリオ、フリーマンらわずかで、金メダルはフリーマンだけ。「本業」の調整を優先させるため、代表選手を最終点火者の対象から外していた大会も少なくない。

 2人以上が一緒に点火した例が過去3回あり、76年モントリオール五輪は2人の若い男女、88年ソウル五輪は男性2人と女性1人の若者で、12年ロンドン五輪は男性4人、女性3人の若者だった。

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