中東初のサッカーW杯まであと3年 カタール現地リポート

完成間近の決勝会場ルサイル

 W杯のメイン会場となるルサイル競技場の建設現場視察にも足を運んだ。ドーハ市内中心部から15キロ、バスで約30分の距離。地下鉄のルサイル駅からは、競技場までを直接結ぶ歩道路が整備される計画だ。競技場は将来20万人が居住する新都市計画の中にあり、ホテルや集合住宅、学校、地下鉄などの建設ラッシュの中をバスで進んでいくと、巨大な競技場が目に入ってきた。1年前と比べると、その進捗は明らかだった。大きなクレーンに囲まれた競技場の大枠はほぼ出来上がっており、今年10~12月に目指す完成へ向けて計画が順調に進んでいることを伺わせた。組織委は、完成後にテストイベントも予定している。20年クラブW杯もカタール開催が決まっており、このまま建設がうまく進めば世界最高峰の戦いをルサイル競技場で見られるかもしれない。

 ルサイル競技場では、開幕戦と決勝戦ほか1次リーグを含めた6~7試合も予定されている。収容人数は約8万人。今回は、競技場内に入ってグラウンド面から工事の様子を視察。多くの作業員が忙しく働く競技場内では、ちょうど1階と2階の観客席の設置が進められていた。すぐに目に留まったのは、その観客席のコンクリート部分に見られた長方形の無数の空洞だ。カタール大会の最大の売りでもある冷房システムのためのもので、この空洞から場内の気温を下げるための冷気が競技場全体に送られる。現場責任者のタミム・アベド氏は「一番の特徴がこの最先端をいく冷却システムだ。今後のよき先例となっていくだろう」と胸を張る。個人的には、酷暑が想定される東京五輪で使われる国立競技場にも、その知恵と技術を借りるべきだったと思うが…。今後は芝を敷き詰め、神々しい金色の外壁と白い屋根を設置する工事を経て完成の時を迎える。

 競技場の建設現場では、約6000人の労働者が働いており、インド、中国、スリランカ、ネパール、バングラデシュといった海外からの出稼ぎ労働者がその大半を占める。競技場のすぐ近くには住み込みで働く労働者の宿泊施設が備えられており、施設内にはバスケットコートやジム、ビリヤードなどが行えるレクリエーション室、リラックスラウンジなどが充実し、休日や休憩時間の息抜きに活用されているという。フィリピンからのある作業員は、「ここでの生活は快適だよ。給料もフィリピンよりいいし、満足している」と笑顔で答えてくれた。

 現場ではこうした労働者らが劣悪な労働環境に置かれて、死者も出ているとの一部報道もあるが、酷暑の夏場(7~9月)は午前11時から午後3時までの作業を中止する一方で、暑さが和らぐ冬場には2交代制で昼夜の作業を行っているという。作業員の実情を探る海外メディアからの質問に対し、アベド氏は「建築現場での作業員の問題は、カタールに限ったものではない。最も重要なのは現場の安全面だ。ここでは温度や湿度などを監視し、労働者の安全は守られる環境になっており、労働者の健康管理は徹底されている」と強調した。

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