プロ野球ソフトバンクで活躍した川崎宗則内野手(38)が今、台湾球界に身を置いている。俊足巧打、好守で鳴らし、米大リーグでもプレー。日本代表としてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一も経験した。2019年夏、台湾プロ野球(CPBL)の味全ドラコンズ入りし、選手兼任の客員コーチに就任。新天地で再び、走りだしている。(時事通信大阪支社編集部 阿部太郎)
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20年が明けた1月。新たなシーズンに向け、故郷鹿児島で自主トレーニングに励む川崎の姿があった。「寒いねえ。この寒さは鹿児島ではないな」。そう言いながらも、どこか心地良く、楽しそうな表情。白球をがむしゃらに追う野球小僧のようなさまは、あの時と同じだ。
「大地に感謝」
大リーグのブルージェイズに在籍していた14年夏。川崎は試合前、誰よりも早くグラウンドに出て、きれいな芝生の上で大の字に寝転がった。空を見詰めている。「何を考えているの?」と聞いたことがある。
「大地に感謝しているのよ。WBCで優勝した時、原(辰徳)監督が言っていたよね。『ロサンゼルスの大地、空気に感謝する』って。あれ、すごく分かる。だから、俺も野球させてくれてありがとうって言ってるんだよ」
マイナーに落とされた時も、「ムネ流」だった。先発出場しない選手は一塁コーチをしばしば任される。嫌がる選手が多い中、川崎はその仕事を買って出た。「一塁コーチは投手の動きを観察できるし、スタートを切るタイミングなど盗塁のイメージトレーニングができる」。コーチズボックスでスタートを切るしぐさは、なかなかお目にかかれない。「うまくなりたい」。その一心だった。
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