【地球コラム】「インド太平洋」「一帯一路」併存が焦点に〜識者に問う日中外交(2)〜

新型肺炎、中央集権的体制ゆえの迅速対応

 慶應義塾大学の加茂具樹教授は、時事通信社のインタビューに応じ、中国の習近平国家主席の訪日に向けた日中間の課題などについて見解を明らかにした。この中で加茂氏は、習主席の訪日の機会をとらえて日本の対中認識を伝える機会として利用すべきだと指摘。日中首脳会談では安全保障、特に中国が推進する「一帯一路」と日本の「自由で開かれたインド太平洋構想」の併存が課題になるとの見方を示した。(聞き手は時事通信社解説委員 市川文隆)

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 Q、新型コロナウイルスの拡大が大きな問題となっています。中国政府のこの問題に対する危機管理対応をどうみますか。

 加茂氏 習近平国家主席が1月20日に新型コロナウイルスの発生に関する重要指示を出し、また、25日にはこの問題を専門に取り扱う政策決定と執行の調整組織(党中央新型コロナウイルス伝染対策活動指導小組)を設けてから、中国の中央政府と地方政府の取り組みが急速に早まった観があります。中央の意思決定が下されると、一気に迅速な行動を取るというのが徹底した中央集権的な政策決定メカニズムの姿だと言われますが、今はそうした姿を私たちは見ているのでしょう。

 ただし、中央が決定を下す前の、情報を現場、地方から上に上げていく過程が迅速だったのかは、情報が少ないので慎重に論じる必要があるにせよ、地方政治の重要イベントの開催や春節前のタイミングということもあって問題があったという指摘もあります。

 地方政府が情報を公開するタイミングは地方だけでは決められないはずです。江沢民政権から胡錦濤政権への権力移行期に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)の教訓も踏まえて、現政権は強力な中央集権的な政策決定メカニズムを選択したのでしょうが、集権的な組織が的確な意思決定と迅速な政策執行を無条件で保証するわけではないと思います。

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