【地球コラム】北朝鮮の「新しい道」

ICBM発射なき軍事力誇示か

 2020年の金正恩の「新年辞」が、年末から大きな関心を集めていた。金正恩が2019年の「新年辞」で、2018年6月のシンガポールでの米朝共同声明で米国が約束した「新しい米朝関係」の構築を守らなければ「新しい道を模索せざるを得ない」と述べていた上、2019年2月末、合意文書なく終わったハノイでの第2回米朝首脳会談を受け、4月の最高人民会議で一方的に「2019年末」まで米国の「勇断を待つ」と述べていたからである。(防衛大学校教授 倉田秀也)

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 ところが、2020年「新年辞」は結局発表されなかった。2013年以降初めてのことである。とはいえ、発表されていたならば言及されたであろう金正恩の発言は伝えられている。年末に「朝鮮革命の発展と変化した対内外情勢の要求に合わせ重大な問題を討議・決定する」と告知された朝鮮労働党中央委員会第7期第5回総会(12月28〜31日)での金正恩の発言がそれである。あるいは、金正恩はこの会議で、「新年辞」に代わるものとして発言していたのかもしれない。

 この会議は告知通り、対外関係だけではなく、金正恩政権が実質10年となる2020年を控え、組織問題の総括とともに人事刷新も行われた。それゆえ、この会議は年末4日間という異例の連続会議となったが、金正恩はそこで以下のように述べたという。

 北朝鮮が「先行して非核化措置を講じたにもかかわらず、米国は相応の措置を果たしていない」、「約束に一方的に縛られる根拠はなくなった」。

 ここでいう「非核化措置」とは、2018年4月の党中央委第7期第3次総会の決定書にもうたわれた核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の中止、北部(豊渓里)の核実験場の閉鎖を指す。

 さらに、金正恩はここで、「わが人民が受けた苦痛と抑制された発展の代価をきれいに受け取るための衝撃的な実際行動に移るだろう」とも述べたという。

 これらの文言だけを字義通り捉えれば、金正恩が2019年の「新年辞」で述べた「新しい道」とは、核実験を繰り返し、弾道ミサイルを連射した2016年から17年までの時期につながることになる。そうみた場合、2019年12月7日のICBMエンジン燃焼実験も、その後21日に開催された「軍事戦略的意図」に合わせて新たな部隊を組織・拡大したとする党中央軍事委員会拡大会議と併せて考えると、2017年11月に発射された「火星−15」をさらに改良したICBM発射の予告とも思えてくる。

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