2019年、中国経済の成長率低下がかなり鮮明になった。リーマン・ショック後、中国はインフラなどへの投資によって成長率を維持してきた。しかし、債務問題の深刻化、過剰な生産能力の顕在化などによって資本効率は低下し、投資主導による成長は限界を迎えつつある。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
経済理論から考えると、中国は不動産バブルに対応しつつ不良債権の処理を進め、潜在成長率の引き上げに向けて構造改革を進めることが必要だ。それには、ヒト・モノ・カネの経営資源を成長期待の高い分野に再配分し、新たな経済成長に向けて環境整備を行うことが不可欠になる。
しかし、現実の問題として、中国共産党が改革を進めることはかなり難しい。成長率の低下とともに、中国国内で人々が不満を抱き、共産党指導部への不信感を持つようになるからだ。国民に対して、一時的な痛み(負担)を強いる改革が必要だと分かっていても、共産党がそれに真正面から取り組むことは、口で言うほど容易ではない。当面、中国政府は財政・金融政策によって景気を下支えしつつ、経済と社会の安定を目指して「国家資本主義体制」の強化に取り組むとみられる。
この政策は債務問題(灰色のサイ)の延命を重視したものと考えられる。補助金政策などをめぐり、米中の摩擦が激化する懸念もある。基調として中国経済は不安定に推移する可能性がある。
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