中国ウォッチ

民衆の「カラー革命」警戒 内憂外患で習政権

 中国の習近平政権がこのところ、民衆が大規模な非暴力的街頭行動で政権を倒す「カラー革命」に対する警戒を強めている。「政治的安全」確保や「重大リスク」防止の重要性を繰り返し強調しており、米中貿易摩擦や国内経済の急減速による内外環境の悪化で社会が不安定になる事態を恐れているとみられる。

ベネズエラ情勢を注視

 米政府系放送ラジオ・フリー・アジア(RFA)の中国語報道(2月11日)によると、中国陝西省の省都・西安市で同5日からの春節(旧正月)前、反米左派のマドゥロ大統領に反対する勢力が拡大している南米ベネズエラに関する文章をインターネット交流サイト(SNS)に転載したネットユーザーが「虚偽の情報を流した」として、警察から罰金500元(約8200円)の行政処分を受けた。

 この文章は、豊かな民主主義国家だったベネズエラが強権的な社会主義国家に変わってしまったと批判する内容だった。RFAは、カラー革命を防ぐため、国内だけでなく外国の政情についても報道規制が強まっていると指摘した。

  中国政府はロシアや北朝鮮などと同様、独裁的なマドゥロ大統領を支持。共産党機関紙・人民日報系の環球時報などの中国メディアや香港の親中派メディアは、ベネズエラの政情不安はカラー革命が起きたからだと主張し、革命の黒幕として米国を非難している。

言論統制、さらに強化へ

今の中国でカラー革命の発生を危惧するのは杞憂(きゆう)のように思えるが、警察やメディアのこうした動きは1月の一連の重要会議で示された方針に基づいている。

 習国家主席は1月15、16の両日開催された治安関係の会議で「政治的安全、社会の安定、人民の安寧」をしっかり守るよう指示した。これを受け、同17日開かれた全国公安庁長・局長(警察本部長)会議で警察トップの趙克志公安相兼国務委員が演説。政治的安全確保について「カラー革命の防止を重点とする」とした上で、「内外の敵対勢力による各種の浸透・転覆・破壊活動」の厳重な取り締まりを命じた。

 21日には幹部養成機関の中央党校が閣僚級幹部研修班の始業式を行ったが、研修テーマは例年のような前年の党中央委員会総会の決定ではなく、「重大リスクの防止・軽減」などの危機管理だった。

 始業式で演説した習氏は、重大リスクがある分野として「政治、イデオロギー、経済、科学技術、社会、外部環境、党建設」を挙げた。ほとんど全ての分野と言ってよい。習氏は特に国際情勢について「変幻極まりない」「わが国の外部環境は複雑で厳しい」と危機感を表明。具体的問題には触れなかったが、米国による厳しい対中貿易制裁が続き、欧米などで中国のIT製品を排除する動きが広がっていることを指すようだ。

 苦境の習政権はますます保守的になっていることから、国内の言論・思想統制がさらに強化され、経済面でも改革・開放は実質的に停滞が続く可能性が高い。

(2019年2月19日配信/外信部長・西村哲也)

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