中国経済の落ち込みが顕著なことから、実際の成長率は公式統計の数値を大きく下回っているとの見方が出ている。2018年の成長率について、中国のあるエコノミストは「約3%」と推計。さらに「1%台」「マイナス成長」といった説まである。
中国国家統計局は19年1月21日、18年の成長率が6.6%だったと発表した。「6.5%前後」と設定した政府の成長率目標は達成されたことになる。しかし、18年末に来日した中国の改革派エコノミストは非公式の会合で、電力消費量などのデータを分析した結果、成長率は約3%とみられると語った。このエコノミストは統計局が発表する成長率の信ぴょう性を疑い、成長率を独自に計算しているという。
エコノミストは「中国経済はかつての日本と同じ道を歩んでいる」とした上で、「高度成長はかなり前に終わっており、これからは低成長時代に入る」との見方を示した。
また、中国人民大学の国際通貨研究所で副所長を務める向松祚氏は18年12月中旬に行った講演で、「非常に重要な機関」の研究チームの内部報告によると、18年の成長率は1.67%だと紹介。さらに、「マイナス成長という説もある」と述べた。
向氏の講演の映像はインターネット上で広まったが、中国メディアは報じていない。公式統計を否定する報道は禁じられているとみられる。
19年1月21日に日本記者クラブで講演した東京財団政策研究所の柯隆主席研究員は、中国経済の支柱である自動車産業で18年の新車販売台数が前年比2.8%減だったのに、国内総生産(GDP)が6.6%増加するというのは不自然だと指摘。公式統計の成長率より向氏の挙げた数値の方が「実感に近い」と語った。
悲観論は欧米にもある。例えば、英国のエコノミスト、デービッド・ブラウン氏は1月14日の香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(電子版)に寄稿し、「中国経済の減速は危機的状態に陥りつつある」と主張。中国当局が金利引き下げを含む大掛かりな景気刺激策を打ち出さなければ、同国経済はハードランディングして、19年の成長率は2%にまで低下する恐れがあると警告した。
(2019年1月22日配信/外信部長・西村哲也)
★関連記事★
新着
会員限定