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「快足」周東、狙うは盗塁王

ソフトバンク育成から侍ジャパンへ、飛躍の1年

 プロ野球ソフトバンクの育成出身でまた一人、大きく名を上げた選手が現れた。「快足」が武器の周東佑京(しゅうとう・うきょう)内野手(23)だ。育成出身で2年目の今春、キャンプ、オープン戦とアピールを続け、開幕前に支配下登録を勝ち取った。背番号が「121」から「23」に格上げ。規定打席に満たない控え選手ながら、主に代走の切り札としてチームトップ、パ・リーグ5位の25盗塁に成功した。今や3年連続日本一に輝いた常勝軍団に欠かせない戦力。日本代表「侍ジャパン」にも選ばれ、持ち味を存分に発揮した。(時事通信福岡支社編集部 野澤健介)

◇ ◇ ◇

◇プレミア12で快走

 その存在を大きくアピールし、輝きを放ったのが11月の国際大会、プレミア12だ。2次ラウンド初戦のオーストラリア戦(ゾゾマリン)でファンを魅了した。1―2と日本が1点を追う七回の攻撃。吉田正尚(オリックス)が中前打で出塁すると、稲葉篤紀監督は「代走周東」を告げた。

 周東は塁上で「絶対に僕がかえって同点にしてやろうという気持ちだった」。気合を入れながらも気負わず、冷静に二盗、三盗と決めて2死三塁と好機を広げた。打席の源田壮亮(西武)が意表を突くセーフティーバントを敢行。好スタートを切っていた周東は、投手のタッチを巧みにかわし、鮮やかにホームを陥れた。俊足でもぎとったとも言える1点で同点に。その後の逆転勝利を呼び込んだ。

 シーズン中からソフトバンクで同じような役割を担ってきた。僅差の終盤、代走で出場して「足」で何度も試合の流れを変えてきた。トップチームの日本代表入りは初めて。それでも、緊迫する場面でいつも通りの実力を示した。

 稲葉監督は12月12日、福岡市内で行われたトークショーで改めて周東の能力の高さを語った。「彼が出てくると、球場が『出てきた、出てきた』という空気になる。走らないといけない使命感に駆られるが、その点で佑京は冷静。その投手ならどれだけ走れるかを見極めていた。状況判断ができるのが素晴らしい」

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