今回の箱根は往路が見逃せない。第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(来年1月2、3日)は、2日の往路から史上最高レベルの激戦が予想される。往路3連覇を狙う東洋大は序盤重視の布陣を組み、高速レースを展開する方針。出雲駅伝を制した国学院大は山登りの5区で前回区間賞の浦野雄平(4年)を擁し、初の往路優勝へ強い闘志を燃やす。総合力の高い全日本大学駅伝覇者の東海大や青学大、駒大がトップで芦ノ湖へ来る可能性もあり、混戦模様だ。(時事通信運動部 青木貴紀)
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東洋大は前回、往路記録を2分近く更新して2連覇を達成。しかし、復路の8区で逆転されて総合では3位に終わった。酒井俊幸監督は「復路勝負を描いているチームが多いので、序盤から攻勢をかけて縦長の集団にもっていきたい。高速レースになってほしい」と逃げ切りを図る構えだ。その本気度は区間配置にもはっきりと表れた。
1区に前回まで2年連続区間賞の西山和弥(3年)を起用。「花の2区」に学生長距離ナンバーワンの呼び声が高い相沢晃主将(4年)、3区には前回区間4位の吉川洋次(3年)を置いた。酒井監督は13日の取材会で西山をキーマンに挙げた。西山が流れをつくり、相沢が後続を引き離して「貯金」をつくる作戦。相沢に「頼る」のではなく、他のメンバーが相沢を「生かす」走りができるかがカギを握る。
相沢もエースの自覚は十分。2区は2年時に経験して区間3位。前回、順大の塩尻和也が出した日本人最高記録(1時間6分45秒)を上回る1時間6分30秒切りを目指す。区間記録(1時間6分4秒)にどこまで迫れるかも注目される。
5区には2年連続で山を登った田中龍誠(3年)ではなく、箱根初出場となる宮下隼人(2年)を抜てきした。計算できる田中ではなく、「伸び率に期待」を込めて宮下を起用したのは酒井監督の攻めの勝負手。宮下が区間上位で走れば往路3連覇はもちろん、6年ぶりの総合優勝にも近づく。
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