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チームで目指す金メダル パラ陸上視覚障害の澤田優蘭選手

「ひとりじゃない」

 昨年、日本新記録を出したパラ陸上視覚障害T12クラス女子走り幅跳びの澤田優蘭選手(29)。恩師やトレーナーによる「チームウラン」に支えられながら、2020年パラリンピック東京大会で金メダルを目指す。「大勢の観客の前で最高のパフォーマンスをしたい」と意気込む。

◇ ◇ ◇

 ―障害の症状は?

 6歳のころ、本を近づけて読んだり、眼球がけいれんしたように動いたりしていることに母親らが気付きました。網膜色素変性症と診断されたのは高1の時です。現在見えるのは、手元やその左右で、真正面から上はほとんど見えません。

 ―パラ陸上と出合った後、一時離れましたね。

 大学時代、幅跳び・100メートルともに伸び悩んでいました。走力が伸びてきたのに飛距離が伸びなくて。就職活動を迎え、「覚悟が決まらないまま、社会人をやりながら競技もやるという自信がない」と、競技から離れることになりました。

 ―それでも復帰した。

 2014年のアジアパラ仁川大会で同世代の仲間が活躍しているのをテレビでみたことがきっかけでした。開会式で友人の選手が旗手を務め、同じクラスでやっていた仲間も記録を伸ばしていて、私がなりたかった姿にみんなが近づき、競技者としてキラキラしている姿を見て「私もこういう風になりたかったんだよな」と思いました。仕事にも慣れ、覚悟を決めました。

 ―北京での5メートル70センチは大きかった。

 世界の選手と戦える準備ができたという感覚でした。それを偶然にしたくない、次も記録を、とプレッシャーも感じ始めました。

 ―喜びの瞬間とは?

 うれしかったのは、初めて5メートル超えの5メートル03の記録が出た時に周りの人が自分のことのように喜んでくれて、「優蘭がこんな記録が出たんだ」と他の人にも伝えてくれた。ひとりじゃない、多くの人が支えてくれていると感じました。

◆特設◆東京五輪・パラリンピック2020

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