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「今までにない音楽映画」 「蜜蜂と遠雷」主演の松岡茉優さん

「見えてくるもの」が変わる予感

 松岡さんは小学生時代にスカウトされて芸能事務所入り。子役としてテレビドラマや映画を中心に活動し、2013年に放送されたNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」で演じたアイドルグループのリーダー役で注目を浴びた。

 子役時代から培った確かな演技力で、癖のある役柄もこなす若き演技派として成長。映画「勝手にふるえてろ」(17年)に主演し、カンヌ国際映画祭のパルムドール受賞作「万引き家族」(18年)にも出演するなど、存在感を高めてきた。

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 ―音楽の世界でも俳優の世界でも、周囲にライバルがいると、自分の力になることはやはりあるのでしょうか。

 そうですね。それはスポーツの世界においても同じことだと思います。同じ時期にたった1人の天才だった人は、なかなか記録的な偉業を成し遂げにくいのではないでしょうか。

 今回の物語では、4人のコンテスタントが出会ったことで、おそらくここから、ピアノ界の旋風が起こるんだろうと想像します。天才同士が出会わないと起こらない奇跡があると思うので。4人が出会ったからこその人生が切り開かれていくんだろうなと感じます。

 ―ここ数年は映画、ドラマ、舞台の出演作が絶えません。充実した日々ですね。

 これまではショッピングで言ったら「全部欲しい」という状態でした。すべてのことを請け負いすぎて、忙しさで感情がなくなってしまったような時期もありました。でも、今はしゃかりきに仕事をやるよりは、一つ一つの仕事を丁寧にやろうという思いが強いです。

 自分をアーティストだとは思っていません。「職業・俳優」として、頂く仕事に前向きに取り組んでいけたらと思います。今回もそうですが、私を選んでくださったり、評価してくださったりした方の恩に応えたい。「これなら誰でも良かった」と思われないようにしたいです。

主役背負い、度胸を据えて

 今回、公開規模の大きな作品で初めて主演を務めたことで、作品を背負うということを強く感じました。これだけの原作で、主演は私。使命感や責任感がとても重たくてつぶれそうになることもありましたが、それでも踏ん張らないといけない。そういう胆力が付いたように思います。逃げられない環境に身を置いたことで価値観が変わったし、今後は見えてくるものも変わってくると思います。

 ―最後に映画の見どころを教えてください。

 石川監督はポーランドで映画作りを学ばれ、撮影監督もポーランドの方なので、カメラワークや色彩などが日本離れしているなと思います。今までにない映像を見てもらえる新しい音楽映画、日本映画になったと思います。映画好きの方にはぜひ、そういった部分も楽しんでいただきたいですね。

(聞き手:時事通信社編集局編集委員 小菅昭彦、撮影:同映像センター編集委員 入江明廣)

■松岡茉優さんプロフィル■
 まつおか・まゆ 1995年2月16日生まれ、東京都出身。小学生時代から子役として活躍。確かな演技力を武器に、映画やドラマ、舞台で、主役から脇役まで幅広く演じる。爽やかな魅力を買われ、CM出演も多い。最近の主な出演作に映画「勝手にふるえてろ」「ちはやふる―結び―」「万引き家族」、NHK大河ドラマ「真田丸」、ドラマ「黒井戸殺し」など。待機作に映画「ひとよ」(11月8日公開)、ドラマ「磯野家の人々~20年後のサザエさん~」(11月24日放送)がある。

 企画制作・時事通信社総合メディア局

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