10月1日午前10時すぎ、微小粒子状物質PM2.5でわずかにかすんだ北京・天安門の楼上から、人民服姿の習近平国家主席が演説した。「いかなる勢力も偉大な祖国の地位を揺り動かすことはできず、中国人民と中華民族の前進を阻むことはできない」。建国70周年というおめでたい舞台にもかかわらず、「敵」に言及しなければならないほど、習指導部に対する風当たりは今強まっている。
中国の覇権は認めないと貿易戦争を仕掛けてきた米トランプ政権、「中国式統治」にノーを突きつける香港の抗議デモ…。建国100年を迎える今世紀半ばまでに米国をしのぐ強国となることを目標に掲げた習氏の「強国路線」が、内外の強い警戒を呼び起こし、習氏にとって誤算の連続とも言える逆風を招いている。
北京は9月から厳戒態勢に入った。毎週末、深夜から未明にかけて天安門広場一帯で行われる軍事パレードなど記念行事のリハーサルには、最大30万人が参加。市中心部を貫く大通り、長安街は10キロ以上にわたって封鎖され、徒歩での横断も許されない帰宅難民が続出。観光客が集まる繁華街・王府井ではアップル・ストアやスターバックスを含む全店舗が臨時休業を迫られた。習指導部発足から7年で既に3回目を数えた軍事パレードは、独裁国家だから可能なものだった。
1日の本番では習氏による閲兵の後、1万5000人の兵員と580の装備が天安門前を行進。頭上には160機以上の航空機が通過した。米国本土を射程に収める新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風41」、音速の5倍以上で低空を滑空する極超音速兵器を搭載する中距離弾道ミサイル「東風17」など、米軍を脅かすに足る最新兵器も次々に披露。軍事面でも米国に対抗できる「強国」に近づいていることを内外に誇示した。
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