ガツン、ゴツンと体育館に衝撃音が響き渡る。行われているのは車いすラグビー。ぶつかり合い、時に転倒する、マーダー(殺人)ボールとも呼ばれる激しいスポーツだ。2017年4月に女性として初めて日本代表に選ばれ、練習に励む倉橋香衣(くらはし・かえ)選手(29)に20年東京パラリンピックに向けた意気込みなどを聞いた。
◇ ◇ ◇
―いつ障害を?
埼玉・文教大3年だった2011年、トランポリンの大会中の練習で失敗し、頭から落ちました。救急隊員に手や脚を触られても感じず、体の感覚がなくなるとはこのことかと思いました。リハビリを始めてから、体が動かなくてどうしようというより、ベッドから頭を起こせた、自分でご飯を食べられたといった一つ一つがうれしかった。
―車いすラグビーとの出合いは。
国立障害者リハビリテーションセンター学院で、人数の少なかったラグビー部に誘われました。その後、クラブチームの「BLITZ(ブリッツ)」に入りました。
―この競技の魅力とは。
ぶつかりに行けて、車いすを止めなくてもいいところです。こんなに揺れた、こんなに飛んだというのが楽しいです。恐怖心はありません。
―プレーで意識していることは。
走るのが一番遅く、すべてが平均以下なので、プレーの先を読み、行くべき所に(早く)行けるようにしています。
―普段の支えは何でしょう。
家族と友人です。1人暮らしができているのも、環境が整っているからです。人に助けられていると感じます。私は本当に限られた所でしか動けません。物を落として(拾うのに)10分はかかります。実家に帰れば楽ですし、練習時間も増やせるけれど、元気なうちは自分のことは自分でするようにしたいのです。
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