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二人で奏でた「リアル蜜蜂王子」 「蜜蜂と遠雷」の鈴鹿央士、藤田真央さん

クラシックへの興味広げる作品―鈴鹿さん

 ―天衣無縫を絵に描いたような塵を演じるに当たって一番留意した点は。

 鈴鹿 塵は明るいキャラクターで、場面的にもそんなに静かなシーンはありませんでした。ですから、気持ちよくテンションを上げることはずいぶんと意識しました。
 僕はどちらかというと、普段はテンションが低い方なので。ピアノを弾く時も、ホールで弾けるという楽しさを感じて、気分を盛り上げました。

 ―プロから見て、鈴鹿さんのピアニストぶりはいかがでしたか。

 藤田 (演奏の見学に鈴鹿さんが来た時は)一挙手一投足のすべてを見られている感じで。普通は、僕のように変な弾き方をしているピアニストはいないんです。でも、それを注意深く観察して、演技に取り入れている。職業は違うけれど、プロだなと。頭が下がる思いがします。

ブームになると期待―藤田さん

 ―クラシック音楽の魅力に触れられる映画なので、クラシックファンの増加にもつながるのでは。

 藤田 そうですね。日本は鎖国が終わった後にようやくクラシック音楽を取り入れましたが、貴族の人たちの文化で(庶民には)敷居が高かった。戦後、西洋の音楽コンクールで日本人が賞を取るようになり、敷居は次第に下がってきて、今が一番いい時期じゃないかと思います。モーツァルトも今なら誰でも知っている。
 クラシック音楽を題材にした「のだめカンタービレ」や「羊と鋼の森」などに続き、この作品が出てきたので、クラシックブームになるのでは、という期待感があります。

 鈴鹿 クラシック音楽と言うと、「落ち着いている」とか「優雅」「ゆったり」といったイメージがあったけれど、自分で実際にバルトークの一節を弾くと気持ちが高ぶりました。
 曲はもちろんですが、弾く人や音質の良しあしで印象はずいぶん変わるんだなと思います。これまでプライベートで聴くのはもっぱらJポップや洋楽で、クラシックは学校の授業で聞いたことがある程度でしたが、今回の仕事を通して興味がより広がりました。
 いろんな人たちがクラシックを聴きたくなる気持ちが分かったような気もします。一音一音が大切な作品です。7・1チャンネルで録音されているので、ぜひ音響システムの整った映画館で見ていただければと思います。

(聞き手:時事通信社編集局編集委員 小菅昭彦、撮影:同映像センター編集委員 入江明廣)

■鈴鹿さんと藤田さんプロフィル■
 鈴鹿央士(すずか・おうじ) 2000年1月11日生まれ、岡山県出身。映画「先生!、、、好きになってもいいですか?」にエキストラ出演したことをきっかけに女優の広瀬すずにスカウトされた。「MEN’S NON―NO」専属モデルオーディションでグランプリを獲得し、今回の作品が俳優デビュー作となる。11月には出演作「決算!忠臣蔵」も公開予定。
 藤田真央(ふじた・まお) 1998年11月28日生まれ。3歳からピアノを始め、2017年にクララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝。今年ロシアで開かれた第16回チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門で2位に入った。映画公開に合わせ、CD「映画『蜜蜂と遠雷』~藤田真央plays風間塵」(ナクソス・ジャパン)もリリースされた。

 企画制作・時事通信社総合メディア局

◆松岡茉優さんインタビュー◆

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