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【地球コラム】「アフリカ最後の植民地」西サハラの悲願

モロッコ寄りの日本に苦言

 日本は西サハラを国家として承認していないが、モロッコによる西サハラ併合も認めない立場だ。松野教授によれば、先進国で西サハラを国家承認している国がない事実などを考慮すると、西サハラが日本に国家として認めてもらうことは難しいとみている。

 日本とモロッコの良好な関係も背景にある。日本はモロッコの水産物・水産加工品の輸出先第3位と重要な貿易パートナーであり、また、モロッコ王室と日本の皇室は伝統的に良好な友好関係を築いてきた。さらに、日本と関係の深い米国やフランスが、モロッコを政治的、軍事的、経済的に支援している。

 ウルドサーレク外相は日本政府に対して、「モロッコ寄りの立場を取っているように見えることは、アフリカ諸国に悪い印象を与えている」と苦言を呈す。

 一方で、外相は日本による一連のTICADの取り組みを高く評価し、「AUはテロとの戦いや技術支援で日本を必要としている」と、アフリカで果たす日本の役割に期待を寄せた。また、「西サハラには豊富な資源もあるので、日本とは将来的に良い関係を構築したい」と秋波を送った。

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