海原 子宮内膜症は、子宮の内膜が子宮の筋層や卵巣、腸、腹膜にできるために、そこで生理時に出血してしまうんですよね。出血が外に出られなくて、腹腔内にたまり、腸や腹膜が癒着するんですね。よく腸閉塞を起こさなかったですね。
中島 腸閉塞の一歩手前でした。便も出にくくなっていて。私の場合は、腹膜や腸の癒着を剥がして、腸の一部を切り取る手術で、12時間かかりました。執刀した先生が「これまでの手術で一番大変でした」と。
海原 手術をして、そのショックをどうやって乗り越えたんですか。
中島 手術の前までは、先生から「なるべく人工肛門にするのは避けます」ということで、何とかなるかなと思っていたんですね。
人工肛門だと分かったのは、ICU(集中治療室)から出て「人工肛門になりました」と言われてですが、その時はショックというより、術後、調子が悪かったので、考える余裕がなかったんです。
術後、腸閉塞にもなり、ショックというより、「困ったなあ」というような感じで。「これから仕事をどうしよう」とか、「結婚したばかりで夫に悪いなあ」とか。ただ、それからしばらくストーマの扱いに慣れなかったりして。
海原 日常生活がこれまでのようにいかないですよね。
中島 外出の時に臭いが漏れたりしないかとか。あと、お花見などがきついんです。トイレがどこにあるか分からなかったり、簡易トイレが並んでいたりすると、間に合わなかったらどうしようと不安になります。
あと、花火やバーベキューも苦労します。困るのは、ジャズのライブです。トイレが少なくて、並んでますよね。
コンサートもちょっと大変で。オストメイト(ストーマを装着した人)用のトイレに入ろうとして、おじいちゃんににらまれちゃうこともあって。「若い女が」なんて言われたりします。
海原 元気そうに見えますからね。
中島 なので、なるべくオストメイト用のトイレは、使わないんです。逆に、オストメイトであることが必要以上に見えないことは、それはそれでいいと思っています。
私は、ストーマがあることは、隠すつもりは全くないんですが、ストーマだということを言い訳にして、仕事をしているようにはなりたくないんです。ストーマがあっても、日常を楽しく生きられる、ということができればいいと思っています。
◇漏えい事故はアイデンティティーの危機
中島 海外ではストーマのある人の非公開グループのフェイスブックがあって、みんな、かなりあっけらかんとした交流があるんです。アジア人は、ストーマというと、暗くなることが多いんですが。
例えば、ちょっと元気がなくなった人が「みんな、どこから来たの?」なんて投稿すると、「私はマサチューセッツからよ」なんて、600件以上の反応があるんです。
オストメイトは、みんな一度は漏れてしまって、漏えい事故みたいなのを起こすんです。そんな時、「あ、大変だ」と分かってくれるのは、同じ体験をした人しかいないんですよね。
そんな時、トイレで泣いてしまったとか。女性にとって、これはおむつをしているようなものなんです。
便が漏れるって、すごくショックで。女性としてのアイデンティティーの危機みたいな感じなんです。「命が助かったから(いいじゃない)」と軽く言われると、心の置き場に困ることがあります。
海原 ストーマって、知らない人が多いですよね。
中島 そうなんです。人工肛門というと、「お尻からなんか出てるんですか」と言う人もいたりして。それで、自分のブログ(https://komabaonan.com/nobagsnolife)で「ストーマってこんなものですよ」と模型を作って載せたりしたこともあります。
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