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「失うことにも意味はある 人生は山あり谷あり」 永遠の若大将・加山雄三さん

愛船の火災乗り越え、82歳で4年ぶり全国ツアー

 2019年4月に82歳となったが、豊富な知識を動員して音楽から海洋環境の問題まで幅広い話題をエネルギッシュに語る姿は「老い」の2文字とは無縁だ。現在も歌手として第一線で活躍を続ける加山雄三さんにふさわしい称号はやはり“若大将”だろう。

 6月から4年ぶりの全国ツアーがスタートし、公私ともに多忙を極める。若さの秘訣(ひけつ)を問うと、加山さんらしく「やる気が大切」とポジティブな言葉が返ってきた。

(聞き手=編集委員・小菅昭彦、インタビュー撮影=写真部・安藤秀隆)

  ◇  ◇

 ―2015年に一度「卒業」を宣言されたコンサートツアーの再開のきっかけは愛船の「光進丸」の火災(2018年)だったとうかがいました。

 (15年で)ツアーはやめたけど、単発のライブは続けていました。ライブをやるのは楽しいし、1度やると「次もあるだろう」と気持ちがつながっていく。やっぱり音楽が根っから好きなんですね。僕は、自分のポリシーとして、音楽で飯を食うという意識を持っていない。音楽は自分の生涯の親友だと思っています。

 火災では大きな喪失感を味わいました。自分の夢を象徴してきたすべてを取り上げられた気がしましたね。一方で「失ったことにも何か意味はあるだろう」とも考えました。「おまえのやるべきことは何だ?」と自問してみたんです。

名コンビとの思い出の曲と共に

 ―6月6日にスタートした全国ツアーは、来年4月まで全24公演。「君といつまでも」「海 その愛」など数々の名曲でコンビを組んだ作詞家の故岩谷時子さんとの曲でプログラムを構成しています。

 これまでいろんな出会いがあったけれど、岩谷さんは一番大切な人です。二人(加山さんは弾厚作名義で作曲)で151曲も作ったんですから。

 1度原点に返り、岩谷さんを大切に思っていることを皆さんに伝えたいなと。それが今回のツアーの一つのテーマであり、信念であり、(岩谷さんへの)感謝の気持ちですよね。昔からのファンが聞いても納得のいくものになればよいと思うし、初めて聞く人にも、どう受け取ってもらえるかを知りたいです。

■「海 その愛基金」で環境問題に取り組む■

 「海の男」のイメージが強い加山さんは、深刻度を増す海洋汚染や子供と若者の「海離れ」を危惧し、日本セーリング連盟と共に今年3月、「海 その愛基金 海洋環境クリーンプロジェクト」をスタートさせた。海洋保全に向けた意識啓発や調査、ワークショップの開催などが活動の柱で、今回のツアーや発売された加山さんのCDの売り上げの一部が寄付される。

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