会員限定記事会員限定記事

大和建造阻止へ! 「アルキメデスの大戦」で山本五十六役―舘ひろしさん

天才数学者をスカウト、「おちゃめな人たらし」のリアル

 3000人以上の乗員とともに、海の藻くずと消えた巨大戦艦「大和」。7月26日公開の映画「アルキメデスの大戦」(山崎貴監督)は、日本が無謀な戦いに挑んだ太平洋戦争の悲劇の象徴でもあるこの史実をベースに、「数学で戦争を止めようとした男」を描く奇想天外なフィクションだ。主人公の天才数学者・櫂直(かい・ただし)は、時代遅れの大艦巨砲主義が生んだ大和建造計画を阻止するため、痛快な頭脳戦に挑んでいく。

 この物語で、「今後の海戦は航空機が主流」という先見の明を持ち、菅田将暉さん演じる櫂を海軍主計少佐にスカウトするのは、海軍少将・山本五十六。やがて連合艦隊司令長官として、日米開戦の火ぶたを切る真珠湾攻撃を指揮する歴史上の人物を、舘ひろしさんが人間味豊かに演じた。その役作りや映画の見どころなどを聞いた。

   ※  ※  ※  ※  ※

 ―軍人の役を演じた舘さんの丸刈り頭は、とても新鮮に映りました。
 軍人役はNHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」で島村速雄(日露戦争当時の連合艦隊参謀長)を演じて以来で、2回目なんです。今回は最初にオファーがあったとき、「丸刈りです」と言われましたが、僕は山本五十六役をやらせていただけるなら、全く平気でした。

 ―過去には三船敏郎さんら名だたる俳優、最近では役所広司さんも五十六を演じていますが、これまでの作品とはかなり違う五十六像です。
 渡(哲也さん)は台本を読まないうちに、「ひろしがやるんだったら、人間的な五十六になるんだろ」と言ったんですよ。
 役作りに当たって、阿川弘之さんが書いた海軍提督3部作の「山本五十六」を読み直しましたが、その中に、米内光政(海軍大将、首相)の五十六評がありました。ひと言、「ちゃめですな」と評しているというんですね。
 五十六は、何かの凱旋(がいせん)パレードの時に、芸者衆の方を向いてウインクしたという逸話もある。そういうちゃめっ気の匂いが出ればいいな、というのは、ありましたね。

台本にはなかった逆立ちのシーン

 それから、五十六に関するどの本を読んでも、五十六が得意の逆立ちをしてみせる場面があるので、山崎監督にお願いして、台本にはなかった逆立ちのシーンを入れていただきました。五十六をリアリスティックに演じることが、作品に重みを与えると思ったので。

 ―本のほかに、役作りで頼りにしたものは。
 三船さんの五十六(映画「連合艦隊司令長官 山本五十六」)は意識しましたね。三船さんのぼくとつとした感じが好きなんです。僕はああいう感じが出ないので、僕の五十六になってしまうんですけれど。
 山崎監督からは、「人たらしの山本五十六をやってほしい」と言われました。その感じがスクリーンに出ているといいですね。

■映画「アルキメデスの大戦」■
 「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズや「永遠の0」など数々のヒット作を手掛けてきた山崎貴監督の最新作。原作の同名漫画の作者は、受験をテーマにした「ドラゴン桜」で知られる三田紀房。主演は菅田将暉。舘ひろし、柄本佑、浜辺美波、笑福亭鶴瓶、小林克也、國村隼、小日向文世、橋爪功、田中泯らが出演。東宝系で全国公開。

新着

会員限定


ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ