会員限定記事会員限定記事

夏は脳梗塞に注意~見過ごしてしまう「前兆」とは~【Dr.純子のメディカルサロン】

文 医師・海原純子

 急に暑くなってきました。この時期ストレスが続いたり、長時間労働したりする人には、脳梗塞のリスクがあることを知ってほしいと思います。

 ◇若くても油断は禁物

 メディア関連の仕事をしている38歳の男性。仕事が忙しく、今年春の定期健康診断を受けていないため、産業医の面談をすることになり、お会いしました。

 ちょうど出張帰りでしたが、2日前から頭が痛い、首が凝る、ということでした。出張先で忙しく、夜まで打ち合わせが続き、終わった後にビールを飲み、翌朝、すぐに報告会議があるというので出社したとのことでした。

 血圧を測定したところ、なんと180/120という値で、すぐに病院で受診をしてもらいました。その結果、高血圧による頭痛で、脳血管障害の恐れもあるとのこと。安静を指示され、その日は緊急入院となりました。

 ◇睡眠不足やストレスで血圧上昇

 夏場だから血圧は低くなるはずと油断していると、睡眠不足、塩分の多い外食とストレスで血圧が高くなっていることがあります。

 これから夏場にかけて、汗をかき、水分補給が十分ではない場合、脳梗塞のリスクも上昇します。頭痛や首の凝りなどが続くときは、血圧を測ってみてください。高いときには、すぐに受診をしましょう。

 また、血圧は正常でも、唇の周りに違和感があり、しびれた感じがあるときや、体に力が入らないときなども、脳梗塞の前兆の場合がありますから、受診してください。

 脳梗塞が冬の病気と思い込んでいる方も多いのですが、実は6月から8月は脳梗塞の危険なシーズンです。

 ◇脳梗塞の前兆「しびれ感」

 脳梗塞の前兆に、一過性脳虚血発作(TIA)というのがあります。

 TIAとは、脳の血管が一時的に閉塞するものの、すぐに改善するという状態です。

 まず、口の周りがしびれたり、体のどちらか半分がまひしたり、言葉が出にくく、舌がもつれたりなどの症状があります。

 しかし、すぐに改善するので、安心してしまうことが多く、これが危険なのです。その後、24時間から48時間以内に脳梗塞を起こすことが多いからです。

 こうした症状があるときは、ためらわずに救急車を呼んで受診してください。

 ◆〔Dr.純子のメディカルサロン〕バックナンバー◆

新着

会員限定


ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ