男子は32年ぶり、女子は44年ぶり。開催国枠で東京五輪に出場するハンドボールの日本代表に、実力を示さなければいけない時が迫る。長期的視野での強化が実り、国際大会で成果が表れている現在。日本協会の田口隆強化本部長は「右肩上がりの時に五輪を迎えられる」と自信を示す。
女子は2016年6月にキルケリー監督が就任した。母国デンマーク代表のコーチなど豊かな経験と人脈を持つ指揮官は、まずは守備を固めて速攻を繰り出すというスタイルを徹底。海外勢のパワーに対抗するため体重増加にも取り組んできた。昨年12月に熊本で行われた世界選手権は10位。原希美(三重バイオレット)や横嶋彩(北国銀行)といったチームの柱をけがで欠きながら、出場24チームになった1997年以降で最高の成績を収めた。「ホスト国の使命は果たせた」(田口氏)
前回五輪覇者のロシアなどトップレベルとの差はある。「体格で圧倒されてしまうチームには難しいが、その次の所にランクするチームに勝ち切れれば、五輪もベスト4の可能性がある」。世界選手権2位のスペインとは2次リーグで2点差の接戦を演じるなど、上位進出の可能性は感じさせた。メダル獲得も実現可能とみている。
男子も17年2月に就任したシグルドソン監督の下で成長。昨年1月の世界選手権では7戦全敗で最下位に終わったものの、強豪と競り合えた内容に手応えが残った。その後本格的に導入したメンタルトレーニングの効果が表れ、今年1月のアジア選手権では強豪バーレーンに2度勝つなど3位と結果を出した。長年フランスでプレーした主将の土井杏利(大崎電気)を中心に、強豪相手でも「勝てる」と信じて戦う姿勢が持てるようになってきた。田口氏は「目先の勝敗に左右されず、監督が国際試合の場で多くの選手をコートに立たせたことの成果」と言う。
確実に底上げができたとはいえ、欧州勢の壁が高いのが現実。五輪では「1次リーグを突破してベスト8」を現実的な目標に据える。
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田口隆(たぐち・たかし)日大出。88年ソウル五輪に出場。引退後は日本リーグの本田技研などで監督を務め、99~03年は男子日本代表を率いた。15年から強化本部長。58歳。岐阜県出身。(2020年3月15日配信)
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