会員限定記事会員限定記事

強化担当に聞く 2020

◆ボクシング◆経験積み弱点克服を

 1964年東京五輪のボクシングで、日本はバンタム級の桜井孝雄が金メダルを獲得した。56年ぶりの自国開催とあって、関係者が今夏に懸ける思いは強い。日本連盟の小山田裕二強化副委員長は「一人でも多くメダルに絡めるようにしたい」と力を込める。

 ボクシングの日本勢は苦戦が続いている。2012年ロンドン五輪で、後にプロで世界王者となる村田諒太(帝拳)が金の快挙を遂げたが、前回リオデジャネイロでは男子2人が出場したのみ。女子は初実施のロンドン、リオともに出場権を獲得できなかった。

 山根明前会長の退任で18年に連盟の体制が刷新され、強化方針を明確にした。世界で戦うには、経験を多く積ませることに尽きる。未知の相手を攻略するには試合中の対応力がすべて。「いろいろなタイプの選手と数をこなせていないのが弱点」と小山田氏は言い切る。

 来日3年目となるウラジミール・シン氏の存在が頼りとなっている。リオ五輪ではウズベキスタンを計7個のメダル獲得に導いた名コーチ。巧みな技術指導に加えてロシア、カザフスタンなど強豪との合同合宿を実現するなど手腕を発揮し、海外選手と拳を交えさせた。

 日本連盟は男子が銀と銅1個ずつ、女子は銅1のメダル3個を目標に掲げる。男子ウエルター級で昨年のアジア選手権準優勝の岡沢セオン(鹿児島県体協)、女子フライ級で18年世界選手権3位の並木月海(自衛隊)らが、国際大会で成長を示したのは頼もしい。本番の舞台は両国国技館。地元の声援は判定にも大きく影響し、「最大の力を出せるよう集中できるのが強み」と小山田氏。地の利を生かして現実的な目標を超えたいところだ。

◇ ◇ ◇

 小山田裕二(おやまだ・ゆうじ)高校からボクシングを始め、93年に鹿児島工でバンタム級で総体優勝。駒大卒業後は後進の育成に力を尽くし、06年に日本連盟のコーチ就任。現在は駒大で監督を務めながら、日本代表選手の強化を担当する。44歳。鹿児島県・種子島出身。(2020年3月8日配信)

◆特設◆東京五輪・パラリンピック2020
◆週刊オリパラ2020◆

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ