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強化担当に聞く 2020

◆レスリング◆「お家芸」に強い危機感

 日本の「お家芸」と言われてきたレスリング。東京五輪を前に、日本レスリング協会の西口茂樹強化本部長は「リオデジャネイロ五輪までとは状況は全然違う」と危機感を隠さない。女子は五輪3連覇の吉田沙保里が引退し、4連覇の伊調馨(ALSOK)は5度目の出場権を得られなかった。経験の少ない選手を、どうメダルへ導くかに腐心する。

 女子は金メダル3個を最低限の目標に置く。世界選手権を3度制した57キロ級の川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)は絶対的な本命で、53キロ級の向田真優(至学館大)、梨紗子の妹で62キロ級の友香子(同)が有力候補。まだ出場権を得ていないものの、2度世界女王となった50キロ級の須崎優衣(早大)も期待できる。

 問題は、重圧の大きい五輪で本来の実力を出し切れるか。昨秋の世界選手権の後から栄養士とメンタルコーチ、試合の映像分析を担当するスタッフを置き、サポート環境を充実させた。

 2018年、長く女子を指導してきた栄和人強化本部長がパワハラ騒動で引責辞任。現場が混乱し、その年のアジア大会で成績が低迷したことが、強化環境を見直すきっかけとなった。栄氏の後を継いだ西口氏は「カリスマ性があった栄さんはもういない。いいと思ったことは何でもやる」。

 男子はグレコローマンスタイル60キロ級の文田健一郎(ミキハウス)、フリースタイル65キロ級の乙黒拓斗(山梨学院大)が金メダルを狙う。2人とも世界選手権で優勝経験があるが、「まだ波がある。もっと鍛えないと。世界は甘くない」。男子の指導にも緊張感を保ち、本番に挑む。

◇ ◇ ◇

 西口茂樹(にしぐち・しげき)日体大大学院出。男子グレコローマンスタイル62キロ級で88年ソウル五輪、92年バルセロナ五輪に出場。引退後はグレコローマンのコーチを務め、16年リオデジャネイロ五輪後から日本協会強化副本部長、18年に強化本部長に就いた。54歳。和歌山県出身。(2020年2月16日配信)

◆特設◆東京五輪・パラリンピック2020
◆週刊オリパラ2020◆

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