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強化担当に聞く 2020

◆体操◆難度上げ最強メンバーを

 体操の水鳥寿思男子強化本部長は、数字と論理を大事にしている。2004年アテネ五輪の団体総合金メダリスト。現役引退から半年余りの12年12月に現職就任が決まり、16年リオデジャネイロ五輪では自身が獲得して以来の団体金メダルに導いた。男子の強化責任者として2度目の五輪を前に「(リオ大会とは)全く違うアプローチになる」と気を引き締める。

 東京五輪を前に、日本男子は苦境に陥っている。団体は18、19年の世界選手権で中国とロシアの後塵(こうじん)を拝し、2年連続の銅メダル。リオの金メダルメンバー、内村航平(リンガーハット)や白井健三(日体大大学院)が苦しんでいる。

 18年の世界選手権で「このままでは世界に置いていかれる」と危機感を抱き、選手と指導者に得点の基礎となるDスコア(演技価値点)アップを呼び掛けてきた。東京五輪の選考大会となる来春の全日本選手権とNHK杯は、Dスコアの合計に応じたボーナス点を設定。金メダルを狙えるチームを編成するためにハードルを設けた形だ。

 これまでの代表選考も実際に団体メンバーを組んだ場合の得点を算出するなど、水鳥氏は論理的な手法を取ってきた。「体操が下手な選手だった」と語る自らの現役時代が影響しているという。世界トップクラスの美しい演技で全日本選手権を6度制した同い年の冨田洋之さんを想定して「どの演技を強くすれば勝てるのか。そういうことを考えるのが好きだった」。現役時代から個人総合で得点を効率よく高められる演技構成を模索し続けた。

 19年の世界選手権の日本は前年と同じ3位だったが、Dスコアは中国とロシアと同等だった。勝負を懸ける来夏に向け、「選手が個別に目標値をクリアしていけば、チャンスはあると思っている」。2大会連続の頂点を目指し、最強のチームをつくり上げる。

◇ ◇ ◇

 水鳥寿思(みずとり・ひさし)日体大出。両親が運営する体操クラブで幼少から競技を始める。04年アテネ五輪団体総合では28年ぶりの金メダルに貢献。05年世界選手権で個人総合銀。12年ロンドン五輪出場を逃し、現役引退した。39歳。静岡県出身。(2019年12月8日配信)

◆特設◆東京五輪・パラリンピック2020
◆週刊オリパラ2020◆

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