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強化担当に聞く 2020

◆ボート◆続く苦闘、我慢の時

 ボートの日本勢は、五輪の過去最高成績が男子の6位。女子は8位入賞に届いたことがなく、苦戦が続いている。今夏の世界選手権では、日本が力を入れる軽量級ダブルスカルで女子は14位、男子は24位。五輪出場枠獲得は来年へ持ち越された。東京五輪に向け、日本ボート協会の長畑芳仁強化委員長は「女子はメダル、男子は入賞を」と願いを込めて語るが、現実は厳しい。

 今は我慢の時と位置付けている。2016年リオデジャネイロ五輪後、ジュニアからシニアまで一貫性と継続性を持たせて強化するシステムを本格導入。男子軽量級かじなしフォアで00年シドニー五輪金メダルのフランスの一員だったギザビエ・ドルフマン氏(46)が「ナショナル・スポーツ・ディレクター」に就任し、各カテゴリーにくまなく目を配ってきた。

 一人の指導者に任せる強化策はもともと旧東ドイツの手法で、フランスも参考にして一層の強豪国になった。「強化委員長として、彼のやりたいことを具現化していきたい」と長畑氏。明確な成果が出るまで「10年はかかる」と言い、長い目で見ることが求められる。だが残り8カ月となった東京五輪での好成績も目指さなければならず、苦しい胸の内もある。

 厳しい戦いが続く中、光は差し始めている。代表クラスの選手はタイムやトレーニング機器の数値が伸びており、「随所にいいものが出てきている。信じてやっていくしかない」。

 強化策導入の主眼はむろん東京五輪。「10年間続けられるかは分からない。そのためには、来年ちゃんと結果を残さないといけない」。ジレンマはあるが、踏ん張りどころで迎える大舞台。飛躍を遂げれば、これ以上ない将来への財産になる。

◇ ◇ ◇

 長畑芳仁(ながはた・よしひと)順大大学院修了。早大時代にボートを始めた。大学での指導歴が長く、日本代表ではフィジカルコーチや23歳以下女子のコーチなどを歴任し、17年から現職。58歳。大阪府出身。(2019年11月24日配信)

◆特設◆東京五輪・パラリンピック2020
◆週刊オリパラ2020◆

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