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強化担当に聞く 2020

◆セーリング◆外国人コーチが貢献

 日本セーリング連盟は東京五輪で、4大会ぶりのメダル獲得を目指す。ヨットで世界の頂点に迫るためのカギは「チームになって動くこと」。オリンピック強化委員会の強化統括責任者、中村健次氏はそう指摘する。

 江の島を会場とする東京五輪の開催が決まったのを受け、定期的に合宿を開いてきた。意識して行ったのは、ルールアドバイザーを招いてきめ細やかな情報共有を図ること。セーリングでは船同士の衝突を避けるための海上規則がある。ルールを念頭に置いて航路を選択することで、他国艇よりも優位にレースを展開することができるからだ。

 「五輪選手は基本的なことは全員できていると思いがちだが、必ずしもそうではない」。風や波などの条件が刻々と変わる中、無数にある選択肢から最適な体の使い方やかじさばきをする必要がある。そのためには経験や知恵の共有が欠かせない。これらの地道な積み重ねがあって、昨年の世界選手権で女子470級の吉田愛、吉岡美帆組(ベネッセ)が優勝できた、と中村氏は捉える。

 日本勢が五輪で表彰台に上ったのは、1996年アトランタ、2004年アテネの両大会だけで、ともに470級。中村氏は今回、男子RSX級の富沢慎(トヨタ自動車東日本)やレーザーラジアル級の土居愛実(アビーム)にもメダル候補として期待を寄せる。

 富沢には16年リオデジャネイロ五輪の銀メダリストでもあるニック・デンプシー氏(英国)、土居にはオーストラリア出身のアーサー・ブレット氏がコーチとして就いた。両氏の人脈で、外国選手とも継続して練習を積むことができている。「ミスが減れば、もっと上を目指せる」。中村氏には確かな手応えがある。

◇ ◇ ◇

 中村健次(なかむら・けんじ)日大出。五輪には88年ソウル大会から通算4度出場。引退後は吉田愛、吉岡美帆組などを指導した。55歳。茨城県出身。(2019年10月27日配信)

◆特設◆東京五輪・パラリンピック2020
◆週刊オリパラ2020◆

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