東京五輪の女子サッカーで、日本代表(なでしこジャパン)が国際舞台での返り咲きを期す。2016年リオデジャネイロ五輪の出場を逃し、今年の女子ワールドカップ(W杯)フランス大会ではベスト16に終わった。日本協会の今井純子女子委員長は「金メダルがインパクトを与える」と言葉に力を込める。
国内リーグのプロ化が進む欧州勢の躍進は驚異的で、スピードにどう対抗するかがカギを握る。日本協会によると、なでしこは今年の女子W杯で総走行距離が24チーム中1位だった一方で、時速23キロ以上の高強度運動量は21位。各所属クラブのフィジカルコーチと緊密に連携し、日々のトレーニングメニューからスプリント回数を増やすことで改善を図る。
暑熱対策も工夫する。本番直前となる来年7月の国内キャンプは、合宿地を変えながら行う予定。避暑地などで主に筋力や持久力を強化し、関東で暑さに慣れるためのコンディショニングを重視する。「移動もなく、日本でずっとできるのは大きなメリット」と今井氏。地の利を最大限に生かす考えだ。
先の女子W杯でけが人が相次いだ反省を生かし、来年の年明けは代表活動の始動日を1週間から10日ほど遅らせる。完全オフの期間を増やし、選手が少しでも良い状態で始動するためだ。オフの過ごし方について、所属クラブを通じて選手に細かく指示を出すことも考えているという。
11年に初めて女子W杯を制してなでしこブームを巻き起こしたが、五輪を逃したことで認知度が下がった。21年の開幕を目指すプロリーグに向けて、自国の五輪で弾みをつけたいところ。「いろいろなアプローチがあるが、東京五輪の結果がさまざまな影響を及ぼす」(今井氏)。女子サッカーの今後を左右する大舞台に、全力を傾ける。
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今井純子(いまい・じゅんこ)筑波大出。在学中にアイルランドのダブリン大留学。トップレベルでのプレー経験はないが、96年から筑波大大学院で、日本協会S級指導者講習会などの業務に携わる。02年に日本協会入りし、16年3月から現職。53歳。東京都出身。(2019年9月29日配信)
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