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強化担当に聞く 2020

◆テニス◆ツアーに同行、出張サポート

 五輪に向けたテニスの強化事情は、他の競技とは異なる。選手が個々に世界中で開催されるツアー大会を回ることから、1カ所に代表候補を集めることは困難。日本協会が選手と関わる機会は限られる。そのため、ツアー巡回中の選手の下に協会からスタッフを派遣して効率化を図っている。

 日本テニス界の悲願、女子のメダル獲得が現実味を帯びている。四大大会2勝で世界ランキング1位にも立った大坂なおみ(日清食品)への期待は大きい。土橋登志久強化本部長は「一生に一度の東京五輪。万全の状態で臨ませないといけない」と強力な支援を請け合う。男子の錦織圭(日清食品)ら強化指定選手にはコーチやフィジカルトレーナーを付き添わせ、けが防止や体調維持をサポート。可能な限りコンディションを整え、来年7月に照準を合わせる。

 本番の暑熱対策では、コートチェンジの際の1分半~2分の休憩時間が最も重要とみる。昨夏のジャカルタ・アジア大会では保冷剤を仕込めるアイスベスト、シャーベット状の氷飲料「アイススラリー」をベンチに持ち込んだ。今年8月には三重県四日市市で行われたツアー下部大会で、学生選手の協力を得て体温の下がり具合など詳細なデータを収集。「短い時間の勝負。いかにパフォーマンスを下げずに戦える体温にできるか」(土橋氏)。サポートグッズの効果を確かめている。

 前回リオデジャネイロ五輪で銅メダルの錦織は、ダブルスにも意欲を示している。暑熱対策による疲労軽減策は、連戦を勝ち抜くカギとなろう。「暑さを日本の強みに変えることが、われわれの仕事」。東京でメダルをつかめば、日本テニス史で四大大会に劣らぬ栄誉。元五輪代表の土橋氏らスタッフの熱は高い。

◇ ◇ ◇

 土橋登志久(つちはし・としひさ)早大出。現役時代に88年ソウル五輪出場。90年全日本室内選手権優勝、91年全日本選手権準優勝。15年から女子のフェド杯で代表監督を務める。52歳。鹿児島県出身。(2019年9月8日配信)

◆特設◆東京五輪・パラリンピック2020
◆週刊オリパラ2020◆

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