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強化担当に聞く 2020

◆ライフル射撃◆待望の拠点でラストスパート

 東京五輪まで1年を切った今夏、ライフル射撃関係者が待ち望んだ施設が本格稼働する。東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)近郊に、第2NTC地下の射撃場が新設された。10メートルの的が25カ所、25メートルと併用できる50メートルの的が15カ所そろい、国内ではかつてない規模。選手宿舎も隣接し、充実した環境が整った。

 ライフル射撃はこれまで国内に拠点がなく、ナショナルチームの強化といっても国際大会の前に短期間の合宿をする程度だった。最近では欧州の強豪国で合宿も何度か行ったが、資金面を考えれば頻繁にできないのが現実。日本ライフル射撃協会選手強化委員長の田村恒彦氏は「施設を造っていただいて非常にありがたい。ここの活用が一番大きくなる」とフル活用での集中強化をもくろむ。

 入賞者なしに終わったリオデジャネイロ五輪以降、協会は指導体制の整備にも注力。昨年11月にはライフル種目のコーチに1988年ソウル五輪金メダルのゴラン・マクシモビッチ氏(セルビア)ら、2人の外国人を招いた。「(五輪まで)1年半なので、50メートル種目と10メートル種目で2人体制にした」と田村氏。カウンセラーとも契約し、安定した射撃に不可欠なメンタル面での助言も選手に与えている。

 東京五輪では開会式翌日の7月25日に行われる女子エアライフルが、全競技を通じて最初にメダルが決まる種目。そこでメダルを獲得すれば、日本選手団全体に勢いがつく。「注目していただいている。難しい部分はあるが、何とかしたい」。目標に掲げるメダル二つ獲得へ、ラストスパートで飛躍を目指す。

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 田村 恒彦(たむら・つねひこ)立命大卒。選手時代はエアライフルが専門で、国民体育大会のエアライフル伏射で1988、89年に連覇。2017年1月から選手強化委員長。京都府出身。64歳。(2019年8月11日配信)

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◆週刊オリパラ2020◆

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