アーチェリーの日本勢は2012年ロンドン五輪で古川高晴(近大職)が銀メダル、女子団体が銅メダルを獲得し、躍進を印象付けた。しかし前回リオデジャネイロ五輪はメダルなし。ロンドンでチームリーダーを務めた全日本アーチェリー連盟の新海輝夫強化部長は、東京五輪の表彰台に向けて「一番調子がいい選手を選ばないと駄目」と言い切る。
リオの失敗は、代表決定の時期が早過ぎたことに尽きるとみている。ロンドンでは男女の団体出場枠を五輪の直前に獲得。選手がそのまま五輪代表となり、好感触を維持したまま本番に入れたことが大きかった。4年後のリオは対照的に、本番1年前の世界選手権で出場枠を得て代表選手を固めてしまったことで、ピークを合わせる難しさが生じたという。
自国開催の東京では、既に開催国枠を確保できている有利さがある。しかし「アーチェリーというのは結構、調子に波がある。できるだけ(本番の)直近で決めた方がいい」(新海氏)というのが連盟の方針。最終選考は可能な限り本番に近い来年4月に設定した。
地の利もある。競技が開会式のある7月24日に始まることから、ちょうど1年前に会場の夢の島公園アーチェリー場で強化合宿を行った。本番で想定される強風は吹かなかったが、会場の雰囲気を経験し、本番をイメージしたトレーニングも積んだ。
新種目の混合にメダルのチャンスがある。ベテラン古川と成長著しい杉本智美(ミキハウス)のペアは昨年のジャカルタ・アジア大会で金。「ワールドカップなどの状況を見ても、メダルを取る確率は高くなっている。そういう意味でここは狙い目」(新海氏)。ロンドンの盛り上がりを再現するカギとなりそうだ。
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新海 輝夫(しんかい・てるお)日体大卒業後、高校の非常勤講師を経て指導者に転身。92年から愛知・愛産大三河高でアーチェリー部顧問を務め、高校総体や国体で優勝を争う強豪に育てた。ロンドン五輪では男女を監督するチームリーダーを務め、メダル獲得に導いた。62歳。愛知県出身。(2019年8月4日配信)
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