日本ホッケー協会は自国開催の五輪に向け、2017年から本格的な強化に乗り出した。自薦他薦を問わずに国内外から代表監督を公募し、男子はオランダ人のシギ・アイクマン、女子はオーストラリア人のアンソニー・ファリー両氏を起用。日本協会の安西浩哉強化本部長は「ともに経験豊富で指導力にたけている。外国人のため、日本選手を冷静に見られる良さもある」と手綱を託した。
日本のホッケーは攻守とも形にこだわってきた。日本人の特性で決められたことはきちんとこなせる一方、いったん崩されると応用が利かない面がある。その点で外国人監督は「瞬時に自分で考えて、次の動きができるように」との指導を徹底。戦術などのミーティングもまずは選手だけで考えさせ、試合中もベンチの指示を待つのではなく、選手が自主的に動くことに重点を置いた。
方向性は間違っていなかった。昨夏のジャカルタ・アジア大会で男女ともに初優勝。安西氏は「日本は開催国枠での五輪出場権を得ていたが、アジアの各国には五輪出場権が懸かっていた大会。ベストメンバーのアジアを制したのは自信になる」と成長を喜ぶ。
男女とも決定力が課題となる。ホッケーはセットプレーからの得点が多く、基本的なパターンが大事なことは確かだ。その上で本部長は「きれいなシュートを打つだけでなく、とっぴな動きで相手を翻弄(ほんろう)する選手が出てきてほしい」。ゴールへの嗅覚が鋭い選手の出現を期待する。
安西氏は五輪後にも目を向ける。「初めて東京にホッケー専用グラウンドができた。今後はここを拠点に普及につなげていきたい」。プロ化を視野に入れる日本ホッケー界にとって、五輪の戦いは未来への第一歩となる。
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安西 浩哉(あんざい・ひろや)神奈川・慶応高で競技を始め、慶大でもプレー。引退後は東京ガス、慶大で監督を務め、2014年に日本協会理事、17年から強化本部長。58歳。東京都品川区出身。(2019年7月28日配信)
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