国際大会で好成績が続き、バドミントンは東京五輪でメダルラッシュの期待が膨らんでいる。躍進に導いているのが、チームを長年率いる韓国人の朴柱奉ヘッドコーチ。来春時点の世界ランキングで決まる五輪代表入りを懸けた選考レースが今夏から本格化する。「12月までの結果で80%ぐらいが決まる」と気を引き締める。
昨年は世界選手権で男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)と女子ダブルスの永原和可那、松本麻佑組(北都銀行)の金メダルを含め、過去最多の計6個のメダルを獲得。五輪で実施の全5種目とも世界ランキング3位以内に入るなど順調だが、朴コーチは今季は苦戦する場面が増えたと感じている。
ライバルの中国や韓国は指導体制やダブルスペアの変更に着手。「桃田ならこのプレー」といった日本選手の傾向分析も、進んでいる印象を与えている。5月の国・地域別対抗戦スディルマン杯では決勝で中国に0-3で完敗。「いろいろな面でターニングポイントになった。今からが本当の勝負。今までの2倍くらい頑張らないと駄目」。代表合宿では危機感をにじませて選手にハッパをかけた。
「ダブルスの神様」と呼ばれたように、現役時代に輝かしい実績を誇る朴コーチ。日本代表を率いた当初は、ふがいない男子に「女子の応援団か」と厳しい言葉で奮起させ、やがて全種目をトップレベルに引き上げた。代表活動期間は年間250日に及び、海外遠征直前でも厳しい練習を課す。自身の日本での集大成にもなる東京五輪。「基本が大事。練習にはフルフォーカスしてほしい」と妥協なく臨む。
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朴 柱奉(パク・ジュボン)韓国代表として現役時代はダブルスで活躍し、92年バルセロナ五輪男子ダブルスで金メダル、96年アトランタ五輪混合ダブルスで銀メダル。世界選手権では金5個。引退後はマレーシア、韓国などで代表チームコーチを務め、04年10月に日本のヘッドコーチ就任。12年ロンドン五輪では女子ダブルスの藤井瑞希、垣岩令佳組が銀、16年リオデジャネイロ五輪では女子ダブルスの高橋礼華、松友美佐紀組が金、女子シングルスの奥原希望が銅を獲得した。世界バドミントン連盟殿堂入り。54歳。(2019年7月21日配信)
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