沖縄発祥の武道、空手は自国開催の五輪でメダル量産が期待される。しかし東京五輪の追加競技に決まって以降、海外勢の強化が急速に進んで混戦模様になった。「1回戦から油断できない大変な戦い。優勝することが本当に難しくなっている」。日本代表の林晃監督は、世界のレベル向上に危機感を募らせる。
東京五輪は男女の組手各3階級と形の計8種目を実施。日本は金メダル四つ、全種目でのメダル獲得を目標に掲げる。しかし、昨年の世界選手権の個人種目での優勝は男子形の喜友名諒(劉衛流龍鳳会)、女子組手50キロ級の宮原美穂(帝京大職)だけだった。中でも組手は苦戦が目立ち、林監督は「日本選手の映像は世界に相当出回り、研究されている」と厳しい表情を浮かべる。
周囲からのマークが厳しさを増す中、今春から新たな強化策として「担当コーチ制」を採用した。これまでは各所属先での強化が中心だったが、代表チームの担当コーチを派遣し、毎月最低1週間は動きや状態をチェック。各所属の指導者と密に連携して課題克服に取り組み、コンディショニングもサポートする。
来年1月からは各種目の五輪ランキング上位2人を五輪代表候補に選び、集中強化していく。候補を絞り込むことで過度な試合出場を避け、疲労や故障のリスクを軽減する狙い。林監督は「選手強化はやれるだけのことはやってきた。最高のコンディションで五輪を迎えたい」。4月には五輪代表が決定。万全の準備を整え、勝負の舞台へ挑む。
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林 晃(はやし・こう) 東農大出。世界選手権は88年組手75キロ級、92年組手無差別級で金メダルを獲得。全日本選手権の成年組手では88年から5年連続準優勝。15年から日本代表の監督を務める。58歳。新潟県出身。(2019年7月14日配信)
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