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強化担当に聞く 2020

◆柔道男子◆早期内定、金への近道

 柔道の日本男子は、前回リオデジャネイロ五輪の全階級でメダルを獲得(金2、銀1、銅4)。7階級制になった1988年ソウル五輪以降、男女を通じて初の快挙だった。自国開催の五輪で一層飛躍するため、全日本柔道連盟で男子強化部長を務める中村兼三強化委員会副委員長は「現場のスタッフがやりやすく、選手が力を発揮できる環境をつくりたい」。金の上積みがテーマの一つだ。

 代表は五輪年の春に決まるのが通例だったが、東京五輪に向けて早期内定を可能とする新方式を導入した。中村氏は「地力を上げ、外国選手の研究と対策をする時間をしっかり取れる」と意義を強調する。

 最速で代表となるには、8月25日開幕の世界選手権東京大会と11月下旬のグランドスラム(GS)大阪大会の両方で優勝し、強化委員会の3分の2以上の賛成を得ることが条件。世界王者のアドバンテージは大きく、「世界選手権以上のピークを(大阪大会に)持っていけることはまずない」。ハードルは決して低くない。

 その後は12月のワールドマスターズ(中国)、年明けの欧州でのGS2大会の結果も受けて突出した選手がいれば、4月の最終選考会、全日本選抜体重別選手権を待たずに決まる可能性がある。ただし、1階級で1人の五輪切符争いはもつれることが予想される。今夏の世界選手権では66キロ級で2連覇中の阿部一二三(日体大)を丸山城志郎(ミキハウス)が猛追して両者が代表となった。現状では複数選手が激しく競り合う階級が多い。

 「国内の選考で疲弊しないように、きっちり勝つところを勝てば(五輪に向け)いいスタートを切れる」。準備期間を長く確保できるメリットは心身両面で大きい。内定が早ければ早いほど、栄冠に輝く確率が高まることになる。

◇ ◇ ◇

 中村 兼三(なかむら・けんぞう) 東海大出。兄の佳央(よしお)、行成(ゆきまさ)と3兄弟で出場した96年アトランタ五輪は71キロ級で金メダル。97年世界選手権も制した。00年シドニー五輪には73キロ級で出場。現在、所属先の旭化成では総監督を務める。45歳。福岡県出身。(2019年6月30日配信)

◆特設◆東京五輪・パラリンピック2020
◆週刊オリパラ2020◆

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