国際バスケットボール連盟(FIBA)は今年3月、2020年東京五輪で日本への開催国枠付与を決めた。16年リオデジャネイロ五輪で8位に入った女子に対し、男子は1976年モントリオール大会以来の五輪出場。ワールドカップ(W杯)出場決定や3年目を終えたBリーグの盛り上がりで好成績が期待される中、日本バスケットボール協会の東野智弥技術委員長は「日本は44年間五輪に出られなかった。簡単にいくわけがない」と手綱を引き締める。
日本男子は世界ランキング48位。世界での戦いを見据え、「日本が強みと言えるものはない。弱点のインサイドやフィジカルでの差を最小化し、スピードやシュート力を生かす」。リオ五輪直前の就任以来、東野氏は強化のトップとして若年層との強化方針の共有を進めた。
17年に招聘(しょうへい)したアルゼンチン出身のフリオ・ラマス監督は、巧みにチームをまとめた。12年ロンドン五輪で母国を4位に導いた手腕は「日本人に合う繊細さを持っている」との見込み通り。さらに東野氏は昨年米プロ協会(NBA)でデビューした渡辺雄太、6月のドラフトで上位指名が見込まれる八村塁のような海外で活躍する選手の招集を積極的に進めた。W杯予選途中で合流した八村らはチームの立て直しに大きく貢献。東京五輪までに代表入りが期待される若手も既にリストアップ済みだ。
W杯1次リーグではトルコ、チェコ、米国と対戦する。「日本は(五輪を含めた)世界大会で欧州に勝ったことがない。今までと違う段階に来たことは確か」と期待を込める。1年後を見据えながら、世界との差を縮めるために模索を続ける。
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東野 智弥(ひがしの・ともや) 福井・北陸高では高校総体優勝。早大卒業後、アンフィニ東京に3年間在籍して95年に現役引退。米国に渡りルイス・クラーク大でコーチを務める。98年以降は所沢ブロンコス、レラカムイ北海道などを指導し、男子の日本代表コーチも経験。16年に日本協会の技術委員長となった。48歳。石川県出身。(2019年5月26日配信)
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