2000年シドニー大会から五輪に採用されたトライアスロンは、いまだに日本勢のメダル獲得がない。20年東京大会での悲願達成に向け、日本トライアスロン連合は新種目の混合リレーに光を見いだそうとしている。強化責任者に当たる五輪対策チームリーダーの中山俊行氏は「初実施で何が起こるか分からず、優勝候補が勝つとは限らない。どこのチームにも大きなチャンスがある」と力を込める。
男女各2人で組む混合リレーは、1人の距離が個人種目の約5分の1。短い距離での勝負なら、世界に対抗できるとみている。カギを握るのが、個人では海外勢との地力の差が大きい男子だ。
前回リオデジャネイロ五輪後、男子の底上げへ次々と手を打ってきた。17年、ヘッドコーチとしては海外から初めて、カナダ出身で同国代表などを指導してきたパトリック・ケリー氏(61)を招いた。「技術面で非常に良いコーチ。選手からは『そんなことまでやるのか』と思われるような細かいところまで教えている」
施設面では宮崎市や甲府市の強化拠点としての運用が本格化。女子が個別強化を尊重する一方、男子は合宿を通じて有力選手が競い合う環境が整った。宮崎市は冬でも日差しがあれば暖かく、「ウエットスーツを着れば12月でも(海で)泳げる」。年間を通じて総合的な練習を積めるようになった効果は大きい。
東京五輪の個人種目の目標設定は、女子が「メダル獲得」としながら、男子は「入賞」にとどまる。中山リーダーは「男子はとにかく混合リレーで結果を出す方に意識していきたい」と強調する。男女とも日本の出場枠は2~3枠。混合リレーの適性も代表入りの重要な要素となる。
◇ ◇ ◇
中山 俊行(なかやま・としゆき) 明大出。日本で大会が行われるようになった80年代から競技を始めた。日本人プロ1号として「ミスタートライアスロン」と呼ばれ、89年から8年連続で世界選手権代表入り。引退後は実業団の他、全日本でも監督を務めた。56歳。神奈川県出身。(2019年5月19日配信)
新着
会員限定