◇冨田千愛、挫折感からの船出
8月にオーストリアで行われたボート世界選手権で、日本女子初の銀メダルを獲得した冨田千愛(福井県スポーツ協会)が東京五輪に向けて自信をつけている。非五輪種目の軽量級シングルスカルで2位。「メダルはメダル。(五輪への)第一歩になった」と言い切る。
鳥取・米子東高でボートを始め、明大大学院に所属した2016年にリオデジャネイロ五輪に出場。大石綾美(アイリスオーヤマ)と組んだ軽量級ダブルスカルで12位と挫折感を味わった。
自分を見つめ直し、始めたのが瞬発系の筋力トレーニング。「低負荷で動き続けるのは得意」と自任し、後半に巻き返す持久力が持ち味だったが、スタートに課題があった。有酸素運動を減らした練習に初めは不安を抱えながらも、「落ちるものがあっても、また得るものもある」。17、18年と連続で世界選手権を逃すなど成績が落ち込んだが、我慢して続けた。
そして迎えた今夏の世界選手権。スタートダッシュに成功し、快挙を達成した。「この方法で良かったんだな」と報われた気持ちになった。12月に行われた代表選考の一つ、「エルゴメーター」による漕力測定では女子軽量級で史上最高のタイムを出したという。「フィジカルが積み上がっていると感じた」
東京五輪で再び代表入りし、日本ボート界悲願のメダルを目指す。まず来年3月下旬の選考レースを勝ち抜き、4月のアジア・オセアニア大陸予選で日本の出場枠を獲得することが大前提。先輩で気心の知れた大石とペアを再結成し、リオの雪辱を果たすチャンスは十分だ。「リオでは決勝で大きな歓声を浴びる選手を見ているだけだった。今度は自分が浴びる側になりたい」。26歳の言葉は決意に満ちている。(2019年12月25日配信)
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