◇瀬戸勇次郎、2020年へ
視覚障害の柔道で、2020年東京パラリンピックへ新星が出てきた。男子66キロ級の瀬戸勇次郎(福岡教大)。17年に健常者の柔道から転向してまだ2年足らず。昨年末の全日本選手権を初制覇した19歳が、世界の舞台をにらむ。
先天性の色覚異常を抱え、「自分では見えているつもりだったが、周りの人が見えているものを見えていないと感じる」と言う。遠くの信号は判別が難しく、日差しが強いと見えない。授業では黒板の文字がほとんど見えず、単眼鏡を使うか拡大した資料を手元にもらっている。それでも、大学の柔道部では健常者と一緒に稽古に励む。
福岡・修猷館高では地区大会8強が最高。卒業したら柔道をやめるつもりだった。ところが、金鷲旗高校大会の選手名簿に監督が記入した視覚の障害に関する記述があり、それを見た連盟から誘われた。「高校も一般入試。今まで声を掛けてもらうことがなかったので、ちょっとうれしかった」と振り返る。
視覚障害の柔道は、互いに組んでから試合が始まる。苦手とする組み手争いからは解放されたが、「互いに力を入れっぱなし。中途半端な技には入れない」とパワー不足を感じた。大学では重量級相手に引きつけて振り回すことも意識。走り込みで足腰を強化し、得意の一本背負いだけではなく、大内刈りや体落とし、袖釣り込み腰と技の幅を広げた。
男子66キロ級はパラリンピック5大会出場の43歳、藤本聡(徳島視覚支援学校職)が王者として君臨してきた。直接対決は連敗からの連勝で2勝2敗。「藤本さんは『東京が最後』と頑張っているが、遠慮するつもりはない」と真っ向から挑む。(2019年4月10日配信)
特集
コラム・連載