もしも、車を運転して人をはねてしまったら。もしも、はねた車の助手席に自分が乗っていたら―。俳優の水谷豊さんが監督・脚本を務めた映画「轢き逃げ―最高の最悪な日―」(5月10日、東映系で全国公開)の主人公は、そんな立場に立たされた親友同士のエリート会社員だ。2人が陥る「心の迷宮」のリアルな演技に、気鋭の俳優、中山麻聖さんと石田法嗣さんが挑んだ。
大手ゼネコン社員、宗方秀一(中山)は結婚式の打ち合わせのため、婚約者の元へ急ぐ途中、若い女性をはねて動転する。式の司会を頼まれ、助手席に乗っていた同僚の森田輝(石田)は思わず、「誰も見ていない」と口走る。2人はその場から逃げてしまい、3日後、結婚式は予定通りに終わるのだが…。
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―最初のひき逃げのシーンは「もし自分だったらどうするだろう」と、映画を見る人は考えるでしょう。
中山 深く考えれば考えるほど、自分がどういう行動を取るか、予測がつかないと思いました。
カメラリハーサルの時の被害者が倒れる瞬間のスロー映像が、ずっと頭から離れなくて。プライベートで車のハンドルを握っても、怖いんです。車に乗ることが減ってきましたね。
石田 僕なら、助手席にいたら全力で(逃げないよう)止めます。
輝のキャラクターについて言うと、浮かぶのは「選択と結果」という言葉かな。悪い方の選択ばかりして、周りも転落させてしまう。最後に救われているか、救われていないかは分からないけれど、今、出てくるのはその言葉ですね。
―サスペンス映画だと思って全体を見ると、友情の話、娘を亡くした家族の話など、いろんな要素があって、裏切られます。
中山 映画のどこにフォーカスを当てるかによって、本当に印象が変わってくる作品だと思います。僕の中では、秀一目線でしか見られていないですけど。見てくださった方のいろいろな評価を聞きたいですね。
■映画「轢き逃げ―最高の最悪な日―」■
「TAP THE LAST SHOW」(2017年)で初めてメガホンを取った水谷豊監督の第2作。ひき逃げ事件を起こした主人公の2人、宗方秀一(中山麻聖)と森田輝(石田法嗣)に、秀一の婚約者の副社長令嬢・白河早苗(小林涼子)、一人娘を失った時山光央(水谷豊)と千鶴子(檀ふみ)夫妻、事件を追う柳公三郎(岸部一徳)と前田俊(毎熊克哉)の刑事コンビが絡む人間ドラマが描かれ、衝撃的な真相も明らかになる。
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